オーストラリア代表GKが語った
PKでの本田圭佑選手との「駆け引き」 (2ページ目)
そうはいっても時間は刻々と過ぎていき、気持ちは焦るばかり。だからこそ、本田圭佑選手がPKを決めた時は、跳びあがってしまい、隣にいた後輩の宇佐美佑果アナウンサーと抱き合って喜びました! 引き分けではありましたが、終了間際の劇的な同点ゴールだったので、気持ちとしては「勝った!」と思えるような試合でした。
試合後、オーストラリアのGKマーク・シュウォーツァー選手に、PKシーンのことを聞いたのですが、実は「本田は真ん中へ蹴ってくると思っていた」と予想していたのだそうです。実際、データを見ると本田選手はPKで真ん中に蹴っている回数がもっとも多く、シュウォーツァー選手もそのデータを知っていたのだと思います。そのデータを信じて予測を変えずにシュウォーツァー選手が真ん中にいたら、あのPKは決まっていなかったのかもしれないと思うと......。
photo by Yamamoto Raita しかし結果は、シュウォーツァー選手は左に飛び、本田選手のシュートがゴールの真ん中に決まりました。一瞬の迷いが、シュウォーツァー選手にあったのかもしれません。そんな緊迫した駆け引きがあったことを知り、本田選手の心の強さがあったからこそ決まった同点弾だったことを痛感しました。
本田選手は、名古屋グランパスに所属していた頃から「自分は日本代表に入って世界で活躍する」と言っていたといいます。当時、周囲には「そんなに簡単なことじゃない」と言う人もいたかもしれません。「ビッグマウス」と言われたこともあったかもしれません。でも、今その夢を実現しています。
同じように「有言実行」で世界の大舞台で活躍している選手のひとりが、水泳の北島康介選手だと思うのですが、実は以前、北島選手に「気になるアスリートはいますか?」と聞いたことがあります。そして、その答えは「本田圭佑選手」でした。理由は「昔の自分に似ているから」。北島選手も本田選手も、まさに「有言実行の人」で、大きな目標や夢をためらわずに口にするアスリート。そしてそれは、自分の力を信じて、積み重ねてきた練習があるからこそ言えることなのだろうな、と今回あらためて思いました。
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