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元騎手・武士沢友治が語る競馬学校の試験と訓練 騎手を目指す若者達には「どんどんチャレンジしてほしい」とエール (3ページ目)

  • PR text by Sportiva
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

約3年間で騎手の土台を作る

 騎手課程は約3年間のうち、約1年半で基礎課程、そのあとの約1年半で実践課程を行なう。その内容を武士沢氏は解説する。

「まずは基礎課程として1年生の夏頃まで馬術の基礎訓練や障害飛越などをしっかりとやったのちに、走路騎乗に移っていきます。そして2年生の夏頃から実践課程として栗東と美浦に分かれて厩舎実習を行ないます。トレセンでより実践的な騎乗技術や調教方法をしっかりと学び、3年生の夏頃に学校に戻ってきます。そこから模擬レースを何度か行なって実戦に向かって準備をし、騎手免許試験を受けることになります」

 最初の1年半で基礎力を、トレセンに移ってからの1年で実践力を、そして最後の半年で騎手になるための応用力を養っていくカリキュラムとなっている。また学校では実技やトレーニングと並行して、競馬に必要な関係法規や馬学なども学んでいく。

濃密な競馬学校での日々

 競馬学校での基本的な1日のスケジュールは、朝5時に起床し、5時30分より厩舎作業。朝食後の7時30分より騎乗訓練などを実施して昼食。午後は学科を行ない、15時30分から再び厩舎作業を実施。17時の点呼を終えると補習や自主トレーニングなどをし、18時に夕食。自由時間を経て22時に消灯となる。
厩舎作業では掃除をしたり騎乗する馬の体を拭いたりする厩舎作業では掃除をしたり騎乗する馬の体を拭いたりする騎乗訓練でのゲート練習。競馬場と同じゲートに入って行なう騎乗訓練でのゲート練習。競馬場と同じゲートに入って行なう騎乗訓練での障害飛越。傍らで教官が見守る騎乗訓練での障害飛越。傍らで教官が見守る午後は学科。この日は獣医師による授業を受ける午後は学科。この日は獣医師による授業を受ける 夜に設けられている自由時間では「テレビを見てくつろぐ人もいれば、木馬に乗って練習をしている人もいる」そうで、希望をすれば、武士沢氏をはじめ教官たちもその傍らに付いて指導をすることもある。

 このように教官たちも一丸となって生徒たちをサポートする体制を敷いている。習得度合いや普段の様子を見て教官内で情報を共有し、それぞれのパーソナリティーにあった声掛けやアプローチをしている。

 また専門性の高いカリキュラムも競馬学校の大きな特徴のひとつだ。武士沢氏は「私は走路騎乗が得意なのでそちらを主に教えている」というように、馬術の専門家、フィジカルトレーニングの専門家もいるなど、その道のプロによる指導が行なわれている。

 このような万全な指導体制であっても、やはり重要なのは生徒たちの意識。競馬学校では体重制限があり、毎日体重測定を行なうなど、厳しい体調管理が必要になる。管理栄養士による栄養バランスの考えられた食事を摂れるが、最終的には自己管理が必須。その点には武士沢氏も「ジョッキーになったら体重の管理は絶対に大事。ペナルティーになったら、いろんな方に迷惑をかけてしまう。だから学校時代からしっかりとコントロールしなくてはいけない」と厳しい目を向ける。スマホなどの情報機器についても同様で、時間制限を厳しく設け、そのための研修も行なっている。

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