パリオリンピック自転車トラックはメダル期待度過去最大 佐藤水菜、太田海也、内野艶和ら注目選手を紹介 (4ページ目)

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笑顔がトレードマークの内野艶和 photo by Gunki Hiroshi笑顔がトレードマークの内野艶和 photo by Gunki Hiroshiこの記事に関連する写真を見る

中長距離の成長株、内野艶和

 福岡県タレント発掘事業をきっかけに自転車競技を始め、ガールズケイリンの選手からパリオリンピック出場を果たした内野艶和。2021年にナショナルチーム入りした彼女は、そこから競技に軸足を置いて強化を続け、2022年のアジア選手権では、ポイントレース、マディソン、オムニアムでともに金メダルを獲得するなど、高校時代から得意としていた中長距離で頭角を表わし始めた。そして昨年の世界選手権のポイントレースで3位を獲得し、一気に注目度を上げた。

 パリ大会で出場する種目は、中長距離のチームパシュートとマディソン。今年のネーションズカップ第2戦では、チームパシュートで3位、マディソンで優勝と結果を残している種目だ。パリオリンピックでも上位進出を期待されている内野だが、一時はナショナルチームからの離脱を考えていた時期もあった。

「(2022年10月の)世界選手権で結果を出せなくて、そのあとも勝てないレースが続いていたのですが、そのころが人生で一番自転車が楽しくなくて、なにをやっているのかわからない状態でした。自転車に乗れば涙があふれてきたし、ふとした時にも涙が出ていました」

 そんな精神状態だったため、内野は意を決して「ナショナルチームを辞めたいです」と申し出た。決意は固かったが、周囲から強く引き止められ、2023年春のネーションズカップ第3戦までは参戦することにした。

 しかし、そこから少しずつ周囲の状況が変わっていく。同年1月にダニエル・ギジガー氏が中長距離チームのコーチに就任すると、内野は「自分の意見や気持ちをコーチに諦めずに伝え続けた」ことで、一度は止まってしまった歯車が少しずつ動き始めていく。

「そこから自分でも不思議なんですが、どんどん成績も上がるようになって、少しずつ自転車が楽しいという感覚を思い出すことができました。頑張ることはもちろん大切ですが、追い詰めてやる必要はないんだなと、今は心に余裕ができています。再び、負けたら悔しいという気持ちが出始めて、それがまたプラスに働くようになりました」

 2023年晩夏の取材で、弾けるような笑顔でそう語っていた内野。パリオリンピックに向けても「出場できたらメダルを狙いにいきたい」と目標を語るとともに、「今から練習して調子を上げて『金メダルを獲りたい』と言えるほどの自信を持ちたい」とさらなる高みも口にした。

 一度は諦めた道で再び輝きを取り戻した内野。中長距離も強豪選手は目白押しだが、つけ入る隙がないわけではない。彼女のトレードマークである笑顔が表彰台で見られることを期待したい。

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