就職人気企業ランキングを投資教育を学ぶ高校野球部生と考える「企業に大事なのは成長するかどうか」 (5ページ目)
でも、どんどん新しいことも学べるので、仕事を通じて自分自身も成長できるんだ。そうするといつでも転職することもできる。この『いつでも転職できる』状態こそが、最も心健やかに働ける状態だと思う。どんなすばらしい企業に就職できたとしても、それは将来を約束してくれるわけではない。特に今のように新しい技術がどんどん出てくる不確実な環境のなかでは、会社なんて当てにならないくらいに思っておいたほうがいい。そのような不確実な世界を生き抜くのに最も必要なことは、『自分が成長できる』環境に自分を置くということなんだ。
これは、決してラクなことではないよ。みんなが『ラクで給料のいい仕事』を選ぼうとする気持ちはわかるけれど、そんな仕事には『自分の成長』という人生において最も重要なことを犠牲にしてしまうんじゃないかな。そもそも学生時代までに学んできたことで、一生ラクして食えるほどビジネスの世界は甘くない。だからこそ20歳代の若いうちはがむしゃらに働いて、どんどん人間として成長できる場所こそが大事なんだ。そうすれば30歳代半ばでも『いつでも転職できる』状態で楽しく仕事ができるようになるだろう。要は『ラク』と『楽しい』は違うってことかな」
鈴木「上場企業は株価や業績を見る。でも、上場してない企業はどうでしょうか」
由紀「あと、外資系企業ってどうですか」
奥野「長期の株価や業績の推移は企業を選ぶ材料にはなるけれど、それ以上でもそれ以下でもないんだ。ちょっと無責任な言い方になるけど、上場企業であろうと非上場企業であろうと、入ってみなければわからない。
だから入ってみて2、3年はがむしゃらに働いて、『あ、これはダメだ』と思ったら、辞めることを検討してもいいんじゃないかな。何しろ君たちが社会人になる時は、この日本はめちゃくちゃ人手不足になっているはずだし、転職ももっと一般的になっていると思うよ。そういう意味では、キャリアの仕切り直しがしやすい時代になっている可能性が高い。ましてや入った企業がブラック企業、つまり、こき使われるだけで君たちの成長にも収入にもつながらないような企業だったら、すぐに辞めましょう。そんな企業に一瞬でも関わるのは時間のムダだからね。
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