「地球に優しい株式投資なんてある?」投資教育の授業を受けている高校の野球部生徒がSDGsについて考えた (4ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

 あと、最近はやりのEV(電気自動車)なんだけど、これもどうなんだろうね。結局、電気をつくり出すために化石燃料に頼ってしまったら、熱源のところで環境負荷を高めてしまう。しかも、電気を送電線で送った時点で確実に数%の送電ロスが発生するし、乾電池に入れた時点でもロスが生じる。それを考えると、そんなにエコだとは言えないんじゃないかな。つまりEVがエコなのかどうかは、本来的にそれぞれの国の『熱源』によって変わるんだよ。

鈴木「じゃあ、どうしていろいろな国が、新車はEVしか認めないとか言い出したんですか」

奥野「EV化を積極的に推進しているのって、欧州だよね。欧州は多くのスポーツが生まれた土地であり、さまざまなスポーツのルールの決定にも深く関わっている。そしてそのスポーツの世界では、ときどき、結果的に自分たち(欧州)が有利になるようなルールの変更が行なわれている。スキージャンプで日本チームが大躍進すると、スキー板の長さを変えろと言い出したなんて話は有名だよ。

 で、ここからは僕の感想的なところでもあるんだけど、そういった欧州の思考パターンから考えると、今のEV推進は、エンジン自動車の分野ではどんなに頑張ってもトヨタ自動車に勝てないから出てきたルール変更、と言えなくもないんだ。

 最初は、トヨタのハイブリットに、ディーゼルを対抗馬として出してきたんだけど、フォルクスワーゲンの排出ガス規制不正問題などに象徴されるように、ディーゼルの環境性能そのものに問題があり、欧州の自動車メーカーが内燃機関でトヨタを打ち負かす手がなくなってしまった。

 そんな時に、まったくのゼロスタートなら勝てるかもしれないと誰かが思いつき、それならEVだということで、欧州連合としては2035年までに内燃エンジン車の新車販売を禁止すると言い出した。結局、この案は非現実的だということで方針転換したけど、こうした流れを見ていると、結局、彼らがやりたいのは、自分たちにとって有利な産業を持ちたいということにも見えてくる。『世界のルール作り』という面において後手後手に回ってきた日本人のうがった見方、ひがみ根性なのかもしれないけどね。

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