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「地球に優しい株式投資なんてある?」投資教育の授業を受けている高校の野球部生徒がSDGsについて考えた (2ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

【「企業統治」って何?】

奥野「SDGsは国連によって採択されたもので、政府、企業、個人が2030年を期限として、自分たちの出来るところで達成しよう、という目標のことなんだけど、これは高校の教科書にも載っているから、君たちもおおよそのことはわかっているよね。

 で、このSDGsという言葉が世の中に広がっていく過程のなかで、『ESG』という言葉が出てきたんだ。

 これは、E(Environment:環境)、S(Social:社会性)、G(Governance:企業統治)」という3つの要件の頭文字を充てたもので、簡単に言えば『企業は利益追求のことばかりを考えるのではなく、地球環境や社会性、あるいは企業統治に配慮して経営を行なうべきだし、投資家もそういう企業に投資するべきだ』という思いが込められている。

 SDGsとESGの考え方って結構、似ているから、『いったい何が違うの?』って疑問に思っている人も少なくないのだけど、簡単に言えば、SDGsが政府、企業、個人を対象に目標設定しているのに対し、ESGは企業と投資家が対象になっているというのが、大きな違いかな。ESGは、企業だって社会を構成する一員なんだから、環境や社会性、ガバナンスを重視して日々の経営をするべきだし、そういう企業に投資するのが投資家の責務、ということを言いたいんだ」

鈴木「Eの環境配慮については何となくわかるんですけど、SやGが今ひとつ明確に理解できません」。
由紀さん「私がよくわからないのはGです。企業統治という意味もよくわからないし、それが世の中を良くすることにどう影響するんですか」

奥野「確かにEはわかりやすいよね。投資家の立場から言うと、地球温暖化の問題で二酸化炭素の排出量を減らさなければならないから、炭鉱の採掘ばかりを手掛けているような企業には投資しない、という話。

 Sは社会性だから、わかりやすい事例で言うと、人を殺傷する武器を製造している軍事メーカーには投資しない、とか、あるいはハラスメントだらけの企業、社員をこき使うブラック企業、男女差別の激しい企業、なども投資対象から除外される。社会性に欠ける企業に投資しないことの意味、何となくわかるでしょう。

 そしてG。ガバナンスに『企業統治』という訳語を当てはめたことで、今ひとつ意味がわかりにくくなったのかもしれないね。

 ガバナンスとは、経営者の暴走を抑えるための見張り役をしっかり立てた企業体制ができているかどうかということなんだ。

 よく『ワンマン経営者』なんて言って、何でもかんでも自分の思うようにならないと気が済まない経営者がいるんだけど、こういう企業は、経営者の見張り役である取締役が機能していない恐れがある。取締役が何も意見せず、経営者の言いなりになっているような会社は、ガバナンスが低い証拠だし、そういう企業は望ましくないから、やはり投資しないようにしましょう、という意味が、Gの部分に込められているんだ」

鈴木「SDGsやESGを重視して儲かっていない会社と、逆に軽視して儲けている会社と、投資家としてはどっちがいいのかなー?」
由紀さん「本当はSDGsやESGを重視して儲かるのがいいと思うんだけど......」

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