「成長株」は村神様だけじゃない。知られざるグローバル企業ヤクルトを投資家はどう見ているか (2ページ目)
【東南アジアでブレイクした理由】
奥野「ついでに、もうちょっと海外の話をすると、どうしてインドネシアやフィリピンでヤクルトが爆発的に売れているのかということなんだけど、これは衛生問題と深く関わっているんだ。
日本でヤクルトっていうと、甘い、子供が飲むものというイメージが強いんだけど、インドネシアなどに行くとそうじゃなくて、どちらかというと健康維持のための飲料というイメージなんだ。ヤクルトには乳酸菌ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株という菌が、生きたまま腸に届くってことで、整腸作用があると言われている。
で、それが日本で発売されたのが1935年のことで、戦後、その販売組織が全国規模に広がっていったんだ。それを束ねるためにヤクルト本社が生まれ、日本国内での認知をさらに高めるため、国鉄から引き継ぐ形でヤクルト・スワローズという球団が設立されたというわけなんだけど、当時の日本も、今の新興国と変わらないくらい衛生状態が悪くて、お腹を壊す人が大勢いたんだ。その社会問題を解決するために、代田稔という創始者がシロタ株を発見し、飲料という形で商品化し、ヤクルトが普及していったというわけ。それと同じことが今、インドネシアなどで起っているんだね」
由紀「でもそんなこと、普通の人はどうやって知ることができるんですか」
奥野「たとえばヤクルト本社のホームページには、いろいろな情報が掲載されているんだ。たとえばシロタ株のように、それを摂取することで宿主に有益な効果を与える生きた微生物を『プロバイオティクス』と言って、その研究によってどんな商品をつくっているのかとかが出ている。さっきの海外展開の話もそうで、ヤクルトが今、日本を含めて世界40の国・地域に広がっているといった情報は簡単に手に入れられるよ。
また、ホームページの『ライブラリ』には、PDFで『会社概要』や『ヤクルトの概況』、『サスティナビリティレポート』が置いてあるので、これらを見れば今、ヤクルトの国内外拠点、働いている人たちの数、製品、業績、将来に向けて取り組んでいることなど、あらゆる企業活動の最新情報に接することができるよ」
鈴木「専門家ではなくても調べればすぐわかる?」
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