「成長株」は村神様だけじゃない。知られざるグローバル企業ヤクルトを投資家はどう見ているか (3ページ目)
【企業の活動を知ることの意味】
奥野「そう。だからプロ野球を見て、『ああ、ヤクルトねー』というところで思考を止めるのではなく、もしヤクルトという会社に興味を持ったなら、同時にそれがどういう会社なのかをホームページに見にいくだけでも、とても見識が広がる。確かに、高校生の君たちにはまだ少し難しいかもしれないけど、大人になると、このような視点でモノを見る感性を持つことが、とても大事になってくるんだ。
なぜなら、社会に出るってことは、いろんな企業と仕事をすることにつながっていくからね。取引先が簡単に潰れたりしたら、君たちの出世にも関わってくる。だから、取引相手の企業がどういう業績をあげていて、財務体質は良好なのかどうかといった数字が読めなければならないし、売り上げが増えているのだとしたら、どういうところからその売り上げが生まれているのかも把握しなければならない。そういったセンスを身につけるためには、今のうちから少しずつでもいいので、会社の情報や数字に慣れ親しんでおくことも大事かもしれないね」
鈴木「でも、どうしてヤクルトってそこまで海外展開を一所懸命にするんだろう」
由紀「海外での利益が半分以上ってことは、ある意味、日本企業であるけれども、日本企業ではないとも言える気がします」
奥野「それはいいところに気がついたね。そういうところに想像をめぐらすことが大事なんだよ。なぜヤクルトが日本以外の世界39カ国・地域に進出していったのか。それはまさに前々回も話題になったように、日本がこれからどんどん人口が減っていくからなんだよ。
人口減少が明らかなのに、日本国内だけでビジネスをしている企業には、ほぼ成長がないし、そこに投資することはできないでしょう。逆に、ヤクルトのように世界へと打って出ている企業は、これからの成長期待で株価も上昇する。ヤクルト本社の株価って、2022年の年末時点で、過去、最も高い水準で推移しているんだ。
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