野球部高校生の素朴な疑問に答える。「プロ野球日本一のオリックスってどんな会社?」
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前回は、集英高校の野球部顧問を務めながら、家庭科の授業で生徒たちに投資について教えている奥野一成先生から、「少子化と日本経済」について話を聞いた3年生の野球部女子マネージャー・佐々木由紀と新入部員の野球小僧・鈴木一郎。自分たちではどうにもできない事態が日本で進行していること、そして国の対策が遅れていることに暗たんたる気持ちになるのだった。
高校生が家庭科で学ぶ投資教育のなかで、「会社・企業」は重要なポイントのひとつ。連載の6回目では「プロ野球の球団名に見る日本経済の変遷」を取り上げている。今回、野球部の部室で由紀と鈴木が話しているのは、「会社・企業」の具体的な中身の話だ。
由紀「ロッテはお菓子の会社。阪神は鉄道。それはわかるんだけど、たとえば去年の日本シリーズで優勝したオリックスが、健康食品などを手掛ける会社を買収したっていうニュースがあったけど、どういうことなんだろう。そもそもオリックスって、何をする会社なのか、知ってる?」
鈴木「イチローさんがコマーシャルに出てる。『やる気マックス』だって」
由紀「ますますわからないわ」
そこに奥野先生が加わった。
奥野「確かに『オリックス』という社名を聞いただけでは、どんなビジネスをやっている会社なのか、わからないよね。でも、オリックスの前の社名を言うと、少しイメージができるかな。
オリックスが創業したのは1964年。当時の社員はたったの13名だから、今のようにプロ野球チームを持ち、2兆5000億円の売上規模を誇る大企業になるとは想像もつかないくらい小さなベンチャー企業だったんだ。
その当時の社名はオリエント・リース。今のオリックス・グループは、金融も含めてさまざまなビジネス展開をしているんだけど、祖業はリース業なんだね。
じゃあ、リース業って何なのか、ということなんだけど、これは『ノンバンク』という括りの業種に含まれている。ノンバンクにはリースの他に、クレジットカード会社、信販会社、消費者金融会社などがある。いずれも銀行や信用金庫、信用組合、労働金庫、農協といった預金取扱金融機関ではないのだけれども、お金やそれ以外のものを貸し出すことによって収益を得ている会社、ということになるんだ。銀行に近い商売をしているけれども銀行ではない、ということで『ノンバンク』」。
鈴木「銀行じゃないけど、お金を貸してくれるってこと? なんだかよくわからないなあ」
由紀「お金を貸すビジネスをするなら銀行でも十分なのに、どうしてノンバンクなんて業種があるのかしら」
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