「成長株」は村神様だけじゃない。知られざるグローバル企業ヤクルトを投資家はどう見ているか
奥野一成のマネー&スポーツ講座(16)~企業をどう見るかPART2
前回は、集英高校の野球部顧問を務めながら、家庭科の授業で生徒たちに投資について教えている奥野一成先生から、「企業をどう見るか」について、プロ野球では日本シリーズを制したオリックスという企業を例に話を聞いた3年生の野球部女子マネージャー・佐々木由紀と新入部員の野球小僧・鈴木一郎。とはいえ、鈴木の結論は「やっぱりヤクルトのほうがわかりやすい!」だった。
これに対して奥野先生は、「ふたりはどれだけヤクルトという企業の本当の姿を知っているかな?」と軽く挑発。3人の会話は続く。
鈴木「でも、ヤクルトってあの乳酸菌入り飲料を売っている会社ですよね」
由紀「私も鈴木君と同じ理解なんですけど、私たちの知らないヤクルトって何があるんですか?」
奥野「今年度から高校生にも投資について教えることになったわけだけど、こういう時のものの見方が、投資をする人と、しない人の大きな違いになるんだよ。
投資をしない人が知っているヤクルトというのは、球団であり、ヤクルトという乳酸菌飲料であり、ヤクルトが入っている自動販売機であり、あとはヤクルト製品を定期的に届けてくれるヤクルトレディ、くらいのイメージだと思うけど、それだけではヤクルト全体の5%くらいしか知っていることにならないんだ。
でも、投資をしている人は、ヤクルトを『企業』として捉えているから、また別の側面が見えてくる。
たとえば、ヤクルトはれっきとした日本企業なんだけど、その利益の半分以上が海外事業によってもたらされている事実を知っている人は、意外と少ないんじゃないかな。
ヤクルトレディが世界中にいるってことを知っている人も、きっとごくごく少数だろうね。インドネシアやフィリピンあたりでは、日本と同じようにヤクルトレディたちがヤクルトの製品を販売していて、実際にその人たちが売り上げにものすごく貢献しているんだ。
これはちょっと余談なんだけど、ヤクルトには世界大会があって、世界中の各地域ごとにヤクルトをたくさん売ってくれたヤクルトレディを日本に招待して表彰するイベント、なんてこともやっている。もちろん交通費も、宿泊費も会社持ちでね」
鈴木「全然知りませんでした。確かにそこまでヤクルトのことを知っている人って、あまりいないかも」
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