クリープハイプ・尾崎世界観が「音」と共に思い出す1990年代のヤクルト「自分がファンだということは、内緒にしていた」

  • 白鳥純一●文 text by Shiratori Junichi
  • 山口直也●撮影 photo by Yamaguchi Naoya

クリープハイプ・尾崎世界観
インタビュー 前編

 2022年のセ・リーグは東京ヤクルトスワローズが2年連続で優勝し、日本シリーズでは、前年と同じ顔合わせとなったオリックスバファローズと対戦。2勝1分4敗で惜しくも敗れたが、連日の熱戦は多くの人々を魅了した。

 ヤクルトの大ファンで、日本シリーズを現地で観戦したというクリープハイプの尾崎世界観さん(Vo、G)に、今シーズンの振り返りや、ヤクルトを応援するようになったきっかけ、巨人の存在などを聞いた。

1990年代からヤクルトを応援するクリープハイプの尾崎世界観さん1990年代からヤクルトを応援するクリープハイプの尾崎世界観さんこの記事に関連する写真を見る***

――今季のヤクルトは、日本シリーズでオリックスに敗れてしまいましたが、2年連続セ・リーグ優勝を成し遂げました。あらためて、2022年シーズンを振り返っていかがですか?

「今シーズンも楽しかったですね。『ファン目線でチームを応援する』ことはもちろん、他球団のファンの方たちが『今年の日本シリーズは面白い』と言っていたことが印象に残っていて。フランクな視点で試合を楽しめて、ヤクルトファンとは違う試合の見方ができることに、羨ましさを感じることもありました」

――今年の日本シリーズで、印象に残っている場面はありますか?

「第1戦と第2戦は現地で観戦しましたが、どちらの試合も面白かったです。日本シリーズの観戦は、2015年(対ソフトバンクホークス・1勝4敗)以来でしたが、気温の下がった秋の球場で、日本シリーズの独特なピリピリとした空気を感じました。そんな状況の中、第1戦の引き締まった空気を切り裂くように、先頭打者の塩見(泰隆)選手が初球をヒットにした場面が印象的でした。あの瞬間の雰囲気はよく覚えています」

――延長戦の末、引き分けに終わった第2戦は、内山壮真選手の同点3ラン本塁打が9回裏に飛び出しました。

「1塁側のスタンドでその本塁打を見ていましたが、高い角度の打球だったので、『これは、入るんじゃないか』と期待を込めて打球の行方を追いました。内山選手が本塁打を放った時の打球音は今でも耳に残っています。でも、後でファンのみなさんがSNSなどでアップしている動画を見返すと、『思った以上に静かだな』と思って。『その場所でしか味わえない音を感じられるのが、生で観戦する醍醐味のひとつなのかな』と感じました」

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