尾崎世界観「人生とプロ野球が重なり合う瞬間がある」。大ファンのヤクルトがピンチを無失点で抑えたら「別れた彼女に連絡してみよう」
クリープハイプ・尾崎世界観
インタビュー 後編
(前編:「音」と共に思い出す1990年代のヤクルト「自分がファンだということは、内緒にしていた」>>)
熱心な東京ヤクルトスワローズファンのファンとしても知られ、今季は自身2度目の始球式も務めたクリープハイプの尾崎世界観さん。インタビュー後編はチーム低迷期の思い出や、今もっとも応援している選手とその理由などについて聞いた。
ヤクルトや野球の魅力について語った尾崎世界観さんこの記事に関連する写真を見る***
――小学生時代、1992年からヤクルトのファンになったとのことですが、成長してからも熱心に応援していたんですか?
「バンド活動を始めた中学、高校の頃は、徐々に神宮球場に行く機会が少なくなって、スポーツニュースで結果だけを見る時期もありました。でも2006年に、久しぶりに交流戦を観に行った時、昔は賑やかだった神宮球場が信じられないくらいガラガラになっている様子を目の当たりにして。『もう一度、応援するチャンスだな......』と思って、また球場に行くようになりました。当時はバンドに没頭していたので、野球に使えるお金はあまりなかったんですが、それでもテレビやラジオで試合経過を追って応援していました」
――2001年以降、チームが低迷する時期もあったように思います。
「弱い時期ならではの楽しみ方があると思っているので、『弱くなったら観ない』『今年は、観るのをやめた』という言葉を耳にすると許せなくて(笑)。子供のころからヤクルトが試合に負けそうな時は、9回の最後の打者がアウトになる直前にテレビやラジオを消すようにしているんです。そうすると、『まだ負けてない』と思える(笑)。
その後は静かになった部屋で、『あのあと、ランナーが2塁に出て、次の打者も続いて......』という感じで、逆転勝ちするまでの流れを思い浮かべるんですよ。現実では、残念ながら最後の打者がアウトになって負けていることがほとんどでしたが、試合展開を想像したりするのは、音楽や小説といった"何かを作り上げる活動"の基礎になっていると思います」
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