「大学卒業までひとりあたり平均2200万円」は高いのか。教育費問題を投資の観点から考える

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

この記事に関連する写真を見る奥野一成のマネー&スポーツ講座(13)~教育という投資

 前回は、集英高校の野球部顧問の奥野一成先生から「貯金と投資の必要性」について話を聞いた3年生の野球部女子マネージャー・佐々木由紀と新入部員の野球小僧・鈴木一郎。奥野先生は家庭科を担当しており、授業では、今年度から導入された「投資」について教えている。思いもかけず、授業内容とも重なる話になったというわけだ。そして「投資」が必要なのは、「将来、贅沢な暮らしができるようになるから」というわけではない、ということが何となくわかってきた。

 練習前の鈴木に、由紀が話しかけている。

由紀「鈴木君は何歳から野球を始めたの?」
鈴木「小3です」
由紀「何かきっかけがあったのかな」
鈴木「同級生の友達がリトルリーグに入っていて、何となく楽しそうだなと思っていたら、母親が『やってみたら』って言ってくれた」
由紀「いいお母さんじゃない」
鈴木「うん。グランドが少し離れたところにあったので、車で送り迎えしてもらったり、ずいぶんつき合ってくれました」
由紀「お金もかかってると思うよ。小学校入学とともにリトルリーグに入り、高校で甲子園を目指すような名門野球部を卒業するまでの野球自体にかかる経費(私立の入学金や授業料は別途)って、500万円以上と言われているんだって」

 そこへ奥野先生が加わった。

奥野「あらゆる教育にはお金がかかるからね」

 ちなみに大学卒業までにかかる平均的な教育費(下宿費、住居費等は除く)は、全て国公立でも約800万円。 全て私立だと約2,200万円に上る(大学は私立大学・昼間部の場合の学費。授業料、その他の学校納付金、修学費、課外活動費、通学費の合計。住居費等を含まない)。教育費の負担が、少子化の要因となっているとの意識調査結果が出ている(文部科学省・学習費調査より)。また、対GDP比でも、一般政府支出比でも、日本の教育への財政支出がOECD諸国のなかで最低に近いとされている。

鈴木「そんなにかかるの......先生、どうにかしてよ」

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