「大学卒業までひとりあたり平均2200万円」は高いのか。教育費問題を投資の観点から考える (2ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

【小学校を卒業したらアメリカへ】

奥野「教育について考える時、先生としては、日本国内で公教育を受けることが本当に正しいことなのかということを、どうしても考えてしまうんだ。

 先日、カタールで開催されていたワールドカップで、日本代表は残念ながら目標のベスト8には進出できなかったけれども、初戦でドイツを破り、さらにスペインにも勝利したよね。ドイツもスペインもサッカーでは強豪国として知られているだけに、その2カ国に勝てたのは、日本としては非常に価値のあることだったと思うんだ。

 もちろん、カズ(三浦知良)やゴン(中山雅史)が活躍していた時の日本サッカー界も、それなりに強かったのだけれども、世界の強豪国に勝てるレベルではなかった。ちなみに日本代表がワールドカップに初出場したのは、1998年のフランス大会だったけど、この時はグループステージで3連敗を喫して敗退。世界の壁は厚かった。

 それが、ドイツとスペインという強豪国に勝てるレベルにまで上がってこられたのは、やはり海外のクラブに移籍して活躍する日本人選手が増えたからというのは、おそらく間違いないだろうね。世界レベルで通用する人間になるには、若いうちから海外を見ておく必要がある。それは何もサッカーに限った話ではなく、他のスポーツもそうだし、音楽や芸術でもそうだと思う。ビジネスでも同じじゃないかな。

 日本の教育は長いこと、公的教育こそが王道とされてきたんだ。それがここ20年くらいで、『わが子を優秀な人間に育てるには公立よりも私立』という風潮が強まった。中高一貫校や、幼稚園から大学までエスカレーター方式に上がっていける私立校がもてはやされるようになったのだけれども、自分の子供を世界で通用する人間に育てたいのであれば、私立校でさえもはやたいしたことがなくて、ましてや公立校ではまったく歯が立たない。選ぶべきは海外留学ということになるのだろうね。

 すでにそのことに気がついている親もいて、たとえば北海道出身の相馬よよかさんという天才ドラマーがいるのだけれども、彼女は小学校を卒業したのと同時に、親と一緒に渡米して、アメリカで音楽教育を受ける選択をしたんだ」

鈴木「あ、僕もテレビで見た」
由紀「家族そろって行くっていうのがすごいよね」

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