スポーツ飲料もスポーツ用品も...値上がりの原因と、そこから得られる人生の指針

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

この記事に関連する写真を見る奥野一成のマネー&スポーツ講座(3)~円安と物価高騰

 前回は奥野一成先生から「プロ野球選手の報酬はどうやって決まるか」を聞いた市立集英高校野球部の女子マネージャー・佐々木由紀と新入部員の野球小僧・鈴木一郎。家庭科の授業で投資教育が始まるなかで、少しずつ社会や経済への関心の芽が生まれているのかもしれない。

 授業が終わり、生徒たちはそれぞれの部活に向かう。野球部顧問にして、家庭科で投資教育を行なっている奥野先生が「暑いから水分補給、忘れないようにね」と声をかけている。最近の運動部では、魔法瓶タイプのマイボトルを持っている生徒が多い。そこに水や好みのスポーツ飲料を入れて飲んでいるのだ。

鈴木「先生、とんでもないよ!」
奥野「どうしたんだい?」

 野球部の部室の前で、奥野先生と由紀、鈴木の会話が始まった。

鈴木「校門の前のコンビニでスポーツ飲料を買おうと思ったら、20円も高くなっていたんです」
由紀「最近、値上げのニュースが多いですよね。野球の道具やウェアなんかも値上げしたっていうし」

 実際、テレビや新聞では連日、値上げラッシュのニュースが報じられている。別の世界の出来事だと思っていたことが、高校生の財布にも直撃しているのだ。

鈴木「お小遣いの額が変わらなかったらやっていけませ~ん」
由紀「でも、あらゆるものの値段が上がっているってどういうこと? 先生、いま何が起きているんですか」
       
奥野「簡単に言ってしまえば、円安が進んでいるからだね。特に今年に入ってから、急速に円安が進んできたんだ。

 これまでドル円は、長期的に見ると、1ドル=100円をセンターにして、プラスマイナス25円くらいで推移していた。つまり1ドル=75~125円くらいの幅で推移していたんだけど、今年の3月くらいからどんどん円安が進み始めて、4月に1ドル=125円を突破しちゃった。そして8月には1ドル=140円まで円安が進んでしまったんだ」
       
鈴木「でも、125円だったのが140円でしょ。値段が上がっているのにどうして円安って言うんですか?」
由紀「そうそう。それは私も不思議に思っていたんです」

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