MLBとNPB。選手の年俸に10倍近くの差がつく経済的根拠とは何か (3ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

圧倒的に違う日本とアメリカの市場規模

「じゃあ、どうしてメジャーリーグの選手の平均年俸が4億5000万円なのか、についてだけど、これは経済規模の違いで説明できるんじゃないかな。

 日本のプロ野球の1チームあたりの年間試合数は143試合なんだけど、仮に1試合の平均観客動員数を3万人にすると、年間の観客動員数は429万人(野球は1対1のチーム対戦だから、ホームでの観客動員は半分に割った214万5000人)。セ・パ両リーグで12球団だから、ざっと2574万人の観客が毎年動員されることになる。チケット代が5000円だとすると、1287億円。これがプロ野球の年間の観戦チケット売上になる。そして、これに放映権などが加算されるから、2000億円くらいの売上規模ってところかな。

 で、ここから先が大事なんだけど、米国の消費規模って、日本の3倍はある。ってことは、単純に3倍すると、メジャーリーグのチケット収入は6000億円。実際にはチーム数も試合数も日本より多いので、それ以上になる。さらにこれに放映権などが入ってくるのだけど、メジャーリーグの試合って、米国内だけじゃなくて、日本やオーストラリアなど野球が盛んな国でも放映されるから、おそらく総額で1兆円を確実に超えてくるマーケットになると推測できるんだ。

 日本のプロ野球の売上規模が2000億円程度であるのに対し、米国のメジャーリーグは1兆円超えっていうのは、マーケットの規模がこれだけ違うからなんだよ。

 さらに言えば、米国のメジャーリーグ選手って、日本のプロ野球で活躍している0.03%の人たちのなかの、さらにトップクラスじゃないと通用しないくらい選手の層が分厚いから、選手ひとりあたりの平均年俸が日本のプロ野球選手の10倍以上っていうのも、まあ納得できる話だし、選手も自分にそれだけの価値があるという自信を持っている。

 そう考えれば、4億5000万円もの年俸をもらってもストライキするのは、当然ってことなんだろうね」
 
由紀「これもナットク。自信のある選手たちがアメリカで挑戦したいという気持ちもよくわかりました」
鈴木「英語はやっとくか」

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