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MLBとNPB。選手の年俸に10倍近くの差がつく経済的根拠とは何か (2ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

なぜプロ野球の選手は稼げるのか

「先週、『お金はありがとうの印です』という話をしたよね。いい商品、いいサービスを購入するためにお金を払う。実際に利用して『良かった!』と思えば、利用者はそれらの提供者に『ありがとう』という感謝の気持ちを持つ。感謝する人が増えれば増えるほど、その製品・サービスの購入にお金を払う人がどんどん増えていく。つまり、ありがとうの数だけ売上や利益が増えていく。だから、お金はありがとうの印なのです。

 おそらく普通の会社員の感覚だと、日本のプロ野球の平均年俸4000万円でも、『十分たくさんの収入を得ている』ことになるんだろうね。メジャーリーガーはその10倍以上が平均年俸だっていうんだから、確かにものすごい差なんだけど、じゃあ、どうしてプロ野球選手はこんなにお金をもらえるのだろう。

 これはプロ野球選手ひとりの活躍が、どれだけ大勢の人たちに興奮や夢、希望などを与えているのか、という点から考えると、腑に落ちるかもね。

 まず、プロ野球選手になれる確率を考えてみよう。

 毎年10月に開かれるプロ野球ドラフト会議で、各球団に新人選手の契約交渉権が割り振られるのだけど、そこでの指名人数は1球団あたり10人以内とする。12球団あるから120人くらいが指名される。

 一方、自分と同じ世代で野球をやっている人口なんだけど、僕らが子供だった時代は1クラス50人くらいで、恐らく1人か2人は野球部だったかな。つまり2%から4%が野球部ってことになるよね。で、自分と同じ年齢の人口が約100万人いると仮定すると、野球の競技人口は2万人から4万人。間を取って3万人ということにすると、そのうち120人しかプロ野球選手になれない。つまり0.4%だ。

 しかも、そのなかで年俸4000万円を稼ぐには、かなり活躍できる選手じゃないとダメ。大勢の人たちに興奮や夢、希望を与えられるような大物選手になって、10年くらい活躍できる選手なんて、きっとその10分の1くらいでしょう。つまり0.04%程度でしかないんだな。だから、会社員の年収が400万円で、プロ野球選手の平均年俸が4000万円というのは、当たり前といえば当たり前の話なんだ」

由紀「ナットク。プロの選手になれるなんて、東京大学に合格するより何倍も狭き門なんですね」
鈴木「やっぱり勉強より練習だ!」

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