確立されたトレーニングは「全部無視」。横川尚隆は自己流5年でボディビルの日本一になった (3ページ目)

  • 石塚隆●取材・文 text by Ishizuka Takashi
  • 會田園●撮影 photo by Aida Sono

――でも5年で日本のトップになるのは大変なことですよね?

「たしかに、このトレーニング期間で優勝した選手は僕以外いないみたいですね」

――すごいじゃないですか! ボディビルは歳月をかけてトップまで地道に歩んでいくといったイメージでしたから。

「ぜんぜん関係ないと思ってトレーニングしていましたよ。それはたぶん『刃牙』の影響もあって、大好きな範馬勇次郎みたいな『僕が一番だ』というメンタルが発揮されたんだと思います。何だろう、負けるのが恥ずかしいというか、僕はやれば絶対に勝てるって信じていたんですよ。だから勝つためだったら無理をしてでもトレーニングやっていました。これがいい方法だとは言えませんが、量も時間も、普通だったらオーバーワークと言われるようなトレーニングでした」

――過去に確立されたトレーニング方法とかあるわけですけど、そういうものは......。

「全部無視していましたね。それはその人たちの中での常識でしょって。例えば各部位、通常20セットなのを、僕は3時間かけて40セットやったりして、周りからは『やりすぎだ』『絶対、身体によくない』と言われても、当たり前のようにつづけていたんです」

――でも故障のリスクもあるわけですよね?

「まあ壊れたら壊れたで、しょせんそこまでの男なんだと思ってやっていました」

――その辺の腹の括り方はすごいですね。

「さっきも言いましたけど、好きなことでは負けたくないし、とにかく自分より大きな筋肉の人がいるのが気に食わないんです(笑)」

――食事制限とかも大変ですよね。

「競技に集中していたときは、減量期に入れば決めたものを同じ時間に食べるということをしていましたけど、そうではないときはわりと好きなモノを食べていました。ただ今は、タレント業をさせてもらっているので、トレーニングや食事も含め、いつでも脱げるように身体をキープしています。オンとオフの切り替えがなくなって大変じゃないですかって言われるんですけど、もう慣れましたね。食に関してはあまり興味がなくなったんですかね」

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