佐藤晴美が語るダンスの原点、E-gilrsメンバーとの絆。「仕事仲間では割り切れない。だからこそ、ぶつかることもあった」 (6ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • 立松尚積●撮影 photo by Tatematsu Naozumi

『戦友』の言葉には、筆舌に尽くしがたいメンバーとの絆と同時に、メンバーと共有した時間の濃密さが込められる。

 それら、数々の『戦友』たちと過ごした15歳から25歳までの10年間とは、佐藤晴美という女性にとって、どのような年月だったのだろう?

「長かったですね。あっという間とかは、全然思わないです。10年って、やっぱり長かった。濃すぎましたね。濃かった......本当に。

 表現することへの向き合い方なども含め、本当にいろんな面において成長させていただいたし、いろんな感情を味わった。悔しさも、このうえない嬉しさも味わったし、いろんな夢を叶えてもらったし、叶えてきた。普通では味わえない、すっごく濃い10年。でも、何ひとつ後悔もない。

 この10年間のひとつひとつの出来事が、生涯忘れることがない気がします。まだまだ人生長いけれど、こんな10年あるのかな〜。子どもが生まれたりしたらまたあるかもしれないけれど、自分の人生としては、これ以上濃い時間はないと思います」

「長かった」と語る時の遠い目線は、踏破した道に刻まれた足跡に、思い出を重ねるようだった。

 今でも、大きな仕事がひと段落した時などに、佐藤さんは過去の映像を見返すという。

 地元・山形のお祭りの舞台から始まった「人生を語るように踊る」旅は、やがて、さいたまスーパーアリーナのきらびやかなステージへと至る。

 その足跡を見返す理由を聞くと、「なんでだろう? でもきっと、何かを知りたいんでしょうね」と、彼女は自分に問いかけた。

「現在地を知るため......なのかな。振り返ると、今、自分がどういう人生の道のりの、どこにいるのかなというのが、ちょっと見えてくる気がするんです。こういう道を辿ってきたから、今ここにいるのかって。そういうのを確認するのが、好きなんです」

 いくつもの出会いと分岐点を、時に足を止め振り返りながら、彼女は、今いる場所を俯瞰する。そうして確認した現在地から、未来へと歩みを進めるために。

後編につづく

Profile
佐藤晴美(さとう・はるみ)
モデル・女優・アーティスト
1995年生まれ、山形出身。2011年、Flower、E-girlsに加入。
2020年12月E-girls解散にともない、ソロ・アーティストとして
活動をスタート。173cmの長身でモデルとしても注目され、
ファッション誌やショーで活躍。また、女優として、ドラマや
舞台に出演するなど、幅広く活動している。

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