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金メダル獲得へ大橋悠依に平井コーチが授けていた作戦。リオ五輪金の萩野公介の泳ぎから伝えていたこと (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

 こんなにも前向きに決勝に向かうことができた大橋だが、つらい経験もたくさん乗り越えてきた。

「ここ2年間はうまくいかないことだらけで、すごく苦しくてほぼ諦めたような感じでした。東京五輪までも正直、全然うまくいっていなくて、金メダルを獲れるなんて昨日の予選を泳ぎ終わるまで一瞬も考えませんでした。

 準高地の東御合宿でも調子は上がらず、6月下旬の長野の試合で泳いだ時は、『もしかしたら決勝にも残れないのでは』というくらい状態が悪かった。その長野のあとに自分の不安要素が全部さらけだされて心が一回折れたけど、その時に平井先生に『チャレンジするのをやめるという選択肢もあるんだぞ』と言われて......。

 それで一晩、400mをやめて200mにシフトしようかとも考えたけど、絶対にメダルを獲りたかったかったので、メダルに近いのは400mだと思って挑戦を決めました」

 意外にも調子が上がってきたのは、選手村に入ってからだった。

「選手村に入ってから、いつも東京でリハビリを見てもらっている先生が選手村の本部にいて体の状態を見ていただくことができたので、自分の気にしていた体の左右のバランス差などが改善されて、心地よく泳げる感覚を掴めました。金メダルとか、メダルっていうところは別にしても、『これはすごくいい泳ぎができるかもしれないな』と思えるようになりました」

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