38歳、6度目の五輪出場へ。寺内健は飛び込みの原点に立ち戻る

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Yuya Nagase/PHOTO KISHIMOTO

 7月12日から韓国の光州で行なわれている世界水泳選手権大会。寺内健(ミキハウス)は、12歳年下の坂井丞(しょう/ミキハウス)と組んだシンクロ飛び板飛び込みで7位に入り、来年の東京五輪代表内定第1号、そして彼にとって6度目の五輪切符を手に入れた。

東京五輪内定を決めた、26歳の坂井丞と38歳の寺内健の12歳差ペア東京五輪内定を決めた、26歳の坂井丞と38歳の寺内健の12歳差ペア 2種目目の内定を狙った3m飛び板飛び込み予選では、準決勝進出ラインの18位に惜しくも届かず19位。個人種目での内定はならなかった。

「個人種目は、ベストパフォーマンスをして10位くらいが妥当かなと思っていました。世界のレベルが上がっている中で自分がどこまでついていけるかでした。予選の戦いが厳しいのは十二分にわかっていた中で、持てる力の8割くらいを出して、あの順位だったというのはしっかり受け止めなければいけないと思います」

 一方、シンクロで東京五輪の内定が取れたことは、狙い通りだった。

「東京へ向けての戦いも始まっているので、今回は相当(シンクロに)比重を置いていた。内定が取れたということで、来年へ向けていいスタートになったかなと思います」

 2016年リオデジャネイロ五輪は、寺内にとって2大会ぶり5回目の五輪だった。36歳での挑戦に、周囲の誰もが最後の五輪だろうと思っていた。だが競技を終えた彼はニヤリと笑ってこう言った。

「わかりませんよ。もしかするともしかするかもしれません」

 その言葉どおり、6回目の五輪出場を実現する権利を得た。

「丞と、『シンクロで一度は五輪に出よう』と話したこともあった。今、自分が世界を見た時に何が強みでどう戦っていくかと考えたら、シンクロはチャンスがある。だから、点数を出してもらいやすい作り方をしてきました」

 その成果が表われた今大会、予選を2位で通過すると、12組出場できる同日夜の決勝に進んだ。結果は、冒頭のように7位に入って、東京五輪の切符を手にした。

「(評価の対象である)同調性に関して引けは取っていないし、強みでもあると思います。今回は、空中姿勢のズレにも厳しくて、これまで空中のズレか入水のキレかどちらかで評価する傾向があったのですが、今回は両方が合致しないと点数が出てこなかった。ただ、そこは自分たちにとって、少しは分があるかなとも思うので、その点でも戦いがいのある種目です」

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