2019.07.20

世界水泳の競泳は「初」と「復活」も期待。
最強メンバーが揃う種目もある

  • 松田丈志●文 text by Matsuda Takeshi
  • photo by Kyodo News

短期集中連載:松田丈志のなるほど『世界水泳』第1回

 明日から7月28日まで8日間の日程で世界水泳、競泳競技がスタートする。ここでも何度か話して来たが、五輪前年の世界選手権はとても重要だ。

個人メドレーの種目でメダル獲得が期待される大橋悠依

 そのポイントは2つ。

 1つは、五輪前年の世界選手権からギアを上げてくる海外勢が多いことだ。海外選手の実力者の多くは、4年プランで強化を進めており、五輪前年となるこの年からギアを上げてくる選手が多い。そのため来年の勢力図を想定する上で重要な大会となる。

 2つ目のポイントは、本大会での結果が来年の目標設定に大きく影響を与える点だ。海外勢がギアを上げてくる本大会での結果は、来年の東京五輪で選手が思い描く最高到達点に影響を与える。例外もあるが、今年決勝に進めなかった選手が、「来年の東京五輪で金メダルを狙います」「メダルを狙います」とは、なかなかならないだろう。やはり、今年ある程度の結果をだすことによって、実感を持って来年の目標を具体的に抱くことができる。

 その重要性を裏付ける数字がある。2001年以降に行なわれた、オリンピック前年の世界選手権でメダルを獲得した日本選手は、翌年のオリンピックで「4人に3人」、つまり75%の確率で五輪メダリストになっている。この数字だけを見ても今年の世界選手権がいかに重要かがわかる。

 そんな重要な大会の見所を、1日ずつ見て行こうと思う。

 21日。大会1日目の見所は、何と言っても男子4×100mフリーリレー。この種目はこれまで日本が五輪、世界水泳ともに一度もメダルをとったことがない種目だ。今大会のメンバーは、過去最強が揃ったと言っていいだろう。

 今シーズン50m自由形で日本記録を更新している塩浦慎理、100m自由形の日本記録保持者の中村克、200m自由形個人でもメダルが狙える所まで成長して来た松元克央、さらに初代表の難波暉(あきら)。彼らがそれぞれベストの泳ぎをすれば、メダル圏内まで突入できる可能性はある。

 記録的には、3分12秒54の日本新記録を約1秒更新できればメダル圏内だ。一人あたり0.25秒。これは簡単な数字ではないが、今の彼らならやってくれるかもしれないと期待を抱いている。その理由は、彼ら自身が自分たちに可能性を感じているからだ。お互いをリスペクトし合い、チームワーク力があがって来ている。勝負を大きく左右する引き継ぎ練習もアドバンスステップという新たな引き継ぎ技術の習得を4月から入念に行なっている。

 2016年のリオ五輪、男子4×200mフリーリレーで日本は萩野公介、江原騎士、小堀勇氣、私とで銅メダルを獲得したが、その時リレーメンバー内にあったのは、お互いをリスペクトする気持ち、自分のやるべき事をやる事、更に「自分たちならやれる」という気持ちだった。今の彼らには実力と共にそれらが備わって来ていると感じる。

 4×100mリレーは、男女ともに初日に決勝が行なわれる。トビウオジャパン全体に勢いをつける泳ぎを期待したい。