2バタの恐怖に陥った坂井聖人。失意のどん底も東京五輪は諦めない (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Matsuo/AFLO SPORT

 不安な兆候はあった。レース前に本番ペースで泳ぐと、すぐに腕がパンパンになり、後半にバテてしまう。「まずいな」と思っていたが、自信だけはあったので気にせずに挑んだが、まったく結果がついてこなかった。

 それからは気持ちが乗らず、なかなか水泳に向き合うことができなかった。しかも201510月に痛めた左肩痛が再発し、泳ぎを変えなければいけないほど影響が出ていた。2018年は左肩の故障が癒えたが、8月に今度は右肩に痛みを覚え、ガングリオン摘出手術を受けた。

 その年の11月にようやく実戦に復帰し、KOSUKE KITAJIMA CUP200mバタフライで優勝した。また食事管理も始め、基本的にどこでも寝ることができるが、睡眠にも気を遣うようになった。

 トレーニングの質・量ともに増やし、今年4月のFINA(国際水泳連盟)チャンピオンズスイムシリーズの中国・広州大会に出場し、男子200mバタフライで優勝(1分5644)した。

 5月のハンガリー大会は優勝こそ世界最強と言われるクリストフ・ミラーク(ハンガリー)に譲るも、1分5540で2位に入り、さらに調子を上げてきた。

 もともとメンタルに課題があったが、いいレースができて結果がついてきたことで、気持ちも整ってきた。

「海外に行き、優勝ができて自信がついたし、海外の選手と泳ぐことで刺激も得た。自分は代表選手ではないので、今はまず日本人の選手に勝って、代表権を獲得するところから始めていく。そこから五輪という話になるので、初心に戻ってやっていきます」

 不安がゼロになることはないが、戦う気持ちと自信を取り戻すことができた。だからこそ今回のジャパンオープンは、いい状態のまま挑むことができた。

 実際、予選5組に登場し、1分5687で全体4番目のタイムで決勝に進んだ。予選のレース後は笑顔も見せていた。

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