3連覇の偉業をステップに。競泳・瀬戸大也は4年サイクルで成長する (3ページ目)

  • 田坂友暁●取材・文 Tasaka Tomoaki
  • 中村博之/PICSPORT●写真 photo by Nakamura hiroyuki/PICSPORT

 世界短水路選手権で好成績を収めて、翌年の夏に勢いをつなげる。それが瀬戸のパターンであることを体現したのが、2015年ロシア・カザン世界水泳選手権だった。

 カザン世界水泳選手権最終日の400m個人メドレー決勝。得意とするバタフライで先行するも、苦手な背泳ぎで2位に後退。しかし、平泳ぎで再度逆転して、最後の自由形でもラストスパートを見せた瀬戸は、2位以下に1秒以上の差をつけて4分08秒50自己ベスト。短水路に続き、長水路の世界水泳選手権でも大会2連覇を達成した。

「招集所で『あ、来たぞ』と思えるくらい、気持ちは落ち着いているのに身体が熱くなってくる感覚がようやく出てきて、スイッチが入りました」

 この結果で、2016年4月の日本選手権を待たずに400m個人メドレーのリオデジャネイロ五輪の代表内定を手にした瀬戸は、1年間という長期の余裕を持って夢の舞台であった五輪に向けて調整ができることが決まった。

 しかし、この内定が瀬戸の歯車を狂わせる。五輪のことだけを考えてじっくりと調整できるメリットはあるものの、普段は4月の代表選考会となる日本選手権に調子を合わせ、そこから夏の国際大会に向けて再調整していくという流れができあがっている。400mについてはその4月で調子を合わせなくてもいいが、200m個人メドレーや200mバタフライといったほかの五輪出場を狙う種目に関しては、調整していかなければならない。そのバランスの取り方が難しく、瀬戸の感覚に微妙な狂いを生じさせていた。

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