【大学駅伝】駒澤大の「新たなスタート」 下級生の層が厚くなりつつあるなか全日本大学駅伝で巻き返しを期す (3ページ目)
【勢いを増す下級生とエース谷中の状況】
出雲駅伝の5日後の早大競技会10000mでも大きな収穫があった。
全2組のうち1組目に、出雲を回避した駒大の1、2年生5人が出場した。
「5000mを14分半で入って、後半上がって、28分50秒から29分を切るぐらいのタイムが出ればいいかなと思っていた」と藤田監督。
2年の牟田颯太、凜太兄弟らが交互に先頭を引っ張りながら、前半は想定どおりに進んだ。
そして、後半にペースアップ。初めて10000mのレースに挑んだ土間董哉(1年)が28分36秒66の好記録で1着となり、2着に牟田凜太が28分38秒45で続いた。3着の牟田颯太が28分40秒72、4着の今村仁(1年)が28分58秒46と、ともに自己ベストを打ち立てた。
「こんなにいくとは思わなかった。自分たちで引っ張って出した記録ですから、自信になります。ある程度のペースでいって、後半上がるレースを、人の力を借りずに自分たちのチームだけでできるのが大事でした。これが駅伝の走りにつながる」
指揮官の想像を上回る走りを見せた選手たちを、藤田監督は満面の笑みで迎えていた。
「牟田兄弟の調子がよくなったのは大きいですね。凜太は強い。(ペースメーカーを務めなければ)もっと行けたと思いますし。颯太も、29分かかるかと思っていたが、成長しましたね」
牟田兄弟は全日本に向けて、及第点を大きく超えてきたと言っていい。
ビッグサプライズは1着の土間だろう。広島・世羅高時代に5000m13分39秒13をマークしている実力者だが、大学入学後はなかなかボリュームのある練習をこなせず、出雲、全日本と、指揮官の構想からは外れた。今後は11月末に5000mのレースを予定しており、今回の10000mはスタミナ面を確認するための出場だった。
それにもかかわらず、28分36秒の好記録を叩き出し、先輩ふたりに先着したのだから、改めて光るものを感じさせた。
「自分の弱点はスタミナ面なので、終始余裕を持ってゴールすることができたのでよかったです。出雲と全日本は同級生4人がメンバーに入ったので、距離走などの練習でしっかりアピールして、箱根はメンバーに入りたい」
伊勢路で土間の走りが見られないのは残念だが、土間自身は、その先の箱根を見据えている。
「やっぱり出雲での鈴木の活躍を見て、"自分らも"っていう気持ちになったと思います。土間だけではなく、今村も我慢して28分台を出したので、1年生はこれから面白いんじゃないですか」
初の10000mだった後藤颯星(1年)は29分42秒37と今回は振るわなかったものの、今の1年生世代は、昨季の4年生世代に取って代わる頼もしい世代になっていきそうな予感がある。
これで、チーム内で今季28分台をマークした選手は10人に到達した。
「今はいろんな取り組みをさせたほうがいいかなと柔軟に考えていて、それがいい方向に出ている」
依然として昨季の4年生が抜けた穴は大きいものの、着実に選手層に厚みが出てきた。
全日本ではやはり谷中が連覇のカギを握ることになりそうだ。"エース頼みのままではいけない"と承知しつつも、谷中を起用できるか否かで、チームの順位が違ってくるのは、紛れもない事実だ。
「だいぶよくはなりましたけど、出雲から全日本まで時間がないので、間に合うかどうか。それに、ここで無理をして箱根を走れなかったら、それこそ、きついので、そこは慎重に考えないといけません」
藤田監督は以前「谷中は7区にいかせるつもり」と話していたが、その起用について慎重を期している。
全日本は、駒澤にとって最も相性のいい大会だ。
「自分たちの最大値を出せる組み方をしたい」
伊勢路で勢いに乗り、前回総合6位に終わった箱根駅伝で巻き返しを図るつもりだ。
著者プロフィール
和田悟志 (わだ・さとし)
1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。
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