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【大学駅伝】駒澤大の「新たなスタート」 下級生の層が厚くなりつつあるなか全日本大学駅伝で巻き返しを期す (2ページ目)

  • 和田悟志●取材・文 text by Satoshi Wada

【収穫となった鈴木大翔と上岡煌の成長】

 また、レース内容を精査すれば、苦戦予想の声を振り払うには十分だったと見ることもできるのではないだろうか。

 課題を残した一方で、藤田監督が"絶対取らないと"という3位までの差は、昨年が22秒だったのに対して、今年は21秒と、昨年とほぼ同じ。アイビーリーグ選抜を除いた関東の3番手の順天堂大とは12秒の僅差だった。

 それに、収穫も大きかった。前日会見で、藤田監督が注目選手に挙げていた1区の鈴木大翔(1年)と、2区の上岡煌(2年)の走りだ。

 藤田監督は、春先には鈴木について「能力は高いが、時間がかかる」と話していたが、その想定を超えて状態を上げてきた。

「だんだんよくなってきて、"これだったらやれる"というところまで来た。夏合宿の時点で、"1区でいくぞ"と話していました」

 出雲で鈴木を1区に起用することは、早々に決めていたという。

 そして、鈴木もその起用に見事に応えてみせた。

「最後のほうまで残っている選手が結構いたので、そのなかでスパートの効く選手をピックアップして、臨機応変に対応できた」 

 鈴木はこのようにレースを振り返っていたが、その冷静さとスパート力は、実力者ぞろいの1区のなかでも群を抜いていた。鈴木は、残り300m足らずで後続に一気に6秒もの差をつけて、見事区間賞で大学駅伝デビューを飾った。

「状況判断能力に優れているんですよね。どこで仕掛ければ、自分が勝てるかがわかっている」と藤田監督は鈴木の走りを高く評価する。

「1区の鈴木の目処が立った。鈴木を1区に起用すれば流れが作れる」と藤田監督。ということは、今後、鈴木は1区のスペシャリストになっていくのか......。

「だけど、あそこまでいくと、どうしても1区はもったいない。全日本では2区あたりを担ってくれないかなと思っているんですけど。1区は団子で来るから、2区もやれるんじゃないかと思いますけどね」

 藤田監督は頭を悩ませる。いずれにしても、鈴木は序盤で流れを作る役割を担うことになりそうだ。

 出雲で2区を走った上岡も、藤田監督は収穫に挙げる。

 区間順位こそ8位だが、早稲田大の本田桜二郎(1年)のスパートに離されながらも踏みとどまり、中央大の岡田開成と並ぶように2秒差の3位でタスキをつないだ。

「先頭でもらったので、猛追されるのは想定内。区間8位でしたが、(5.8kmを)16分ジャストでまとめて、トップと秒差でつないだのはよかった。先頭争いをできたことも、経験値としては大きいです」

 初めての大学駅伝での好走に、上岡のさらなる成長を期待していた。

 3区の植阪は区間10位だったが、今季の成長株のひとりで、4年目にして初の大学駅伝だった。急遽5区に起用された池谷陸斗(1年)も合わせると、実に4人が今回の出雲で初めて藤色のタスキをつないだ。

"新たなスタートの1年"と位置づけた今季、この先のふたつの駅伝を見据えると、彼らが経験を積んだことは、何よりもプラス材料と見ることができるだろう。

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