【箱根駅伝 名ランナー列伝】山下拓郎(亜細亜大)「雑草軍団」の初優勝の決め手となった「陸上をやめようと思った」男の大逆転劇 (2ページ目)
【8区の戦況変化を生かし9区で大逆転】
そして2006年の正月に"ミラクル"を巻き起こす。初日は順天堂大が5区の今井正人で大逆転に成功。17年ぶりの往路Vを果たして、復路も快調だった。
2位とのタイム差は5区終了時で30秒、6区終了時で1分05秒、7区終了時で2分53秒。7区を終えた時点で亜大は5位で、トップの順大とは4分05秒もの大差がついていた。しかし、8区で戦況が一変する。
順大は13km付近で2位とのリードを3分25秒差に拡大するも、難波祐樹が脱水症状でフラフラになり、終盤失速。駒澤大がトップに立ち、亜大が2位に浮上した。
8区終了時で1位と2位の差は1分12秒。一気に5連覇が視界に入った駒大だが、雑草軍団が食らいついた。
山下は13kmすぎ、27秒後にスタートした順大・長門俊介に追いつかれたものの、すぐに引き離す。そして駒大の背中に近づいていった。
「ウォーミングアップの途中で3位になっていて、着替えたら2位になっていたんです。走る直前、監督から電話で『3番でいいんだ』と言われて、リラックスすることができましたね。監督が設定したタイムを意識して走ったら、リズムに乗れて、最後まで前に駒大がいるつもりで攻めの走りができました」
山下は19.5kmで駒大・平野護に追いつくと、1kmほど並走した。そして平野の動きをチラッと確認して、ペースアップ。両者の差が広がっていく。
一度はチームを離れた男が区間歴代5位(当時)の1時間09分30秒で走破。残り約2.5kmで駒大との差を42秒まで広げ、区間賞に輝いた。最後はアンカー・岡田直寛が澄み切った青空の下、初優勝のゴールに飛び込んだ。
「12月に入って絶好調だったので、9区を監督に志願しました。区間賞は狙えると思っていましたし、駒大と1分差ということで、抜ける自信もありました。駒大に並んでからは、もう一回頑張ろうと決めていました。抜いたあとは、1秒でも速く10区にタスキを渡すつもりで走りましたし、トップでタスキを渡したときは優勝を確信していましたね」
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