【箱根駅伝2026】強い駒澤大は帰ってきたのか? 藤田敦史監督が感じる自信は全日本大学駅伝で確信に変わった (2ページ目)
【4年生の不調が下級生の成長を促した】
――全日本のあとの囲み取材では、「去年と違う層の厚さがある」と話し、理想の区間配置ができたことにも手応えを感じたように見えましたが、実際はいかがですか?
藤田 伊藤のようなエース級の選手を5区に置くという攻めの区間配置は、他大学もやりたいけどできないというのが実際のところだと思います。うちの勝因はそれができたことだと思いますが、このオーダーを実現できたのはエース区間である7区に圭汰を置けたことが大きかったです。
圭汰が走れないとなると、7区にはエース級の伊藤か谷中晴(全日本2区区間3位・2年)を持ってくるしかなく、5区はどうしてもつなぎ区間になってしまいます。MVPは間違いなく伊藤ですが、陰のMVPは圭汰でした。
ケガで苦しんでチームに迷惑をかけたという思いもあって、最後の駅伝シーズンはチームの優勝に貢献したいと言っていましたし、全日本に関しては「僕が7区に入ることがチームにとって一番いいと思う」と言ってくれたので、監督としてはこんなにありがたいことはなかったです。
――去年の全日本のあとは「うちは10人ギリギリだけど、逆に言えばその10人が揃えばしっかり戦えるし、勝てると思っている」と言っていましたが、今年は本当に状況が変わってきましたね。
藤田 全日本は、エントリーメンバーの誰を使っても遜色ない走りができる自信がありました。そういう意味で今年は、箱根に向けて選手層がだいぶ厚くなったと思います。ただ、チームを預かる身としては、全日本の優勝は素直にうれしい反面、箱根が終わると4人の4年生が抜けると思うと、諸手を挙げて喜ぶことができない感情も出てきました(笑)。
――それは毎年の悩みですね(笑)。今季は昨季からほぼ残った14人のチームプランニングがうまくいったということですか?
藤田 そうですね。今季は最初から選手層がある程度揃っていたので、4年生がいるうちに下級生を鍛えるところに主眼を置いてやろうと思っていました。しかし、そううまくはいかず、前半は圭汰や伊藤がケガをして夏合宿を一緒にできない状況があったり、帰山侑大(4年)もケガであまり練習ができませんでした。
結局は、山川ひとりが孤軍奮闘して下級生たちと頑張ってくれました。
――夏の間の4年生が不調のなか、下級生たちに「自分たちがやらなくてはいけない」という意識が芽生えたのが、今につながっているのでしょうね。
藤田 それはあります。まだ力がない選手たちも今年の夏は非常にいい練習をやってくれました。全体としては(2022年の)三冠をした時くらいチーム練習を積むことができていました。
その積み重ねを実感したのは、出雲が終わってからのチーム練習で、誰ひとりとして遅れることなく走れるようになっていた時です。そのくらいチームとしてできあがってきている感覚があったので、「全日本はイケるかもしれない」という手応えが雰囲気としてもありました。
箱根に向けては、私からの一方通行ではなくて選手たちにきちんと伝えたうえで、選手たちも考えを持って同じ目線で進んでいくことが大事だと思っているので、それはかなり意識しています。
【Profile】
藤田敦史/ふじた・あつし
1976年11月6日生まれ。福島県出身。駒澤大在学時には箱根駅伝に4年連続で出場し、4年生の時には4区で区間記録を更新している。卒業後は富士通に入社し、故障に悩まされながらも福岡国際マラソンで優勝を果たした。引退後、富士通陸上部で長距離コーチを務めたのち、母校である駒澤大陸上競技部のコーチに就任した。2023年の箱根駅伝終了後、長年、陸上競技部監督を務めた大八木弘明氏に代わり監督に就任。出雲駅伝優勝1回、全日本大学駅伝優勝2回と成績を残している。
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