検索

箱根駅伝2025 全日本8区で衝撃の走りを見せた駒澤大・山川拓馬 5区出走となれば「山の神」争いのトップ候補

  • 和田悟志●取材・文・写真 text & photo by Wada Satoshi

5区出走の可能性が高い駒大・山川は、全日本8区の衝撃走の再現となるか? photo by Wada Satoshi5区出走の可能性が高い駒大・山川は、全日本8区の衝撃走の再現となるか? photo by Wada Satoshi2025年1月2日・3日に行なわれる第101回箱根駅伝(217.1km/往路107.5km・復路109.6km)区間エントリーが12月29日に発表された。

レースの当日変更を見越した補員の顔ぶれを見ると、優勝候補の一角・駒澤大は、今季好調で2区と5区の両区間で候補に挙がっていた山川拓馬(3年)は、おそらく2年ぶり2回目となる5区出走の可能性が高くなった。

今年の全日本大学駅伝8区で見せた衝撃の走りは、山川本人のみならず、チーム全体にも大きな自信を植えつけた。

2年ぶり9度目の箱根制覇、学生三大駅伝では通算30目の優勝に挑む駒大のカギを握るひとりとして、どんな走りを見せるのか?

【前回箱根の悔しさ胸に衝撃の走りでチームに貢献】

 前回の箱根駅伝、当時2年生だった駒澤大の山川拓馬は思わぬ悔しさを味わった。

 4区をまかされた山川は、3区で先頭に立った青山学院大から4秒遅れの2位で平塚中継所を出発した。

「本当は最初から突っ込むはずだったんですが、思うように走れず、じりじりと離される結果になり、そこで勝負が決まってしまったところがありました。

 自分のなかで思い描いていた走りができず、チームに迷惑をかけてしまいました」

 全日本大学駅伝のあとに恥骨を痛めてしまい、箱根まで思うように練習を積めなかった影響があり、青学大の佐藤一世(現・SGホールディングス)に1分26秒差にまで広げられてしまった。

 駒澤大はその後、巻き返すことが叶わず、2年連続の三冠と箱根駅伝連覇を逃した。

「『箱根の借りは箱根で返すしかない』っていう言葉を藤田(敦史)監督から言っていただいたので、しっかりと箱根の借りを返し、総合優勝に貢献できるような走りをしたい」

 そう誓って、大学3年目のシーズンを迎えた。

 恥骨のケガが長引き、シーズンインは遅れたが、そのぶん、フィジカルを強化。フォームを見直しバランスを整え、故障しにくい体をつくる取り組みを新たに始めた。

 そして、7月の関東学連網走記録挑戦会で10000m28分36秒98の自己ベストをマークすると、ひと夏を越えて駅伝シーズンはさらに進化した姿を見せた。

 出雲駅伝では3区をまかされると、7秒前にスタートした青学大のエース・黒田朝日に追いつき、熾烈な先頭争いを繰り広げた。次の中継所には黒田に先着を許したが、区間タイムでは勝利し、城西大のヴィクター・キムタイに次いで区間2位と好走した。

 圧巻の走りを見せたのは、全日本大学駅伝の最終8区だ。3位でタスキを受けた山川は、最後まで優勝をあきらめずに果敢に前を追った。優勝した國學院大には届かなかったものの、2分37秒差があった青学大を逆転し2位でフィニッシュした。記録は日本選手歴代2位の57分9秒。早稲田大の渡辺康幸が1995年にマークした56分59秒の日本選手区間最高記録にあと10秒まで迫る激走だった。

 これほどの快走にも、山川は「目標としていた56分59秒には届かず、練習がまだ足りていないと感じた」と反省を口にしていた。それほど好調をキープし、駅伝シーズンを送れているということだろう。

 もちろん昨季までも強い選手だったが、明らかに今季の力はこれまで以上。その片鱗をふたつの駅伝では見せた。

1 / 2

著者プロフィール

  • 和田悟志

    和田悟志 (わだ・さとし)

    1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る