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【箱根駅伝】史上初の2年連続3冠へ邁進する駒澤大を渡辺康幸が分析 不安要素は本当にない?! (2ページ目)

  • 牧野 豊●取材・文 text by Makino Yutaka

【1区は佐藤圭太になるのか?】

――佐藤選手は高らかに「1区区間新記録」への思いを会見で公言していましたが、駒大の敵は駒大、と言わんばかりに最初から飛ばしていくという決意の表れに見えます。

「実際にどうなるかわかりませんが、区間エントリー発表前に佐藤選手があれだけはっきり明言したことには少し驚きました。個人としてもチームとしても、2年前の吉居大和選手(中大)のように序盤からの大逃げ(区間新記録での1区区間賞)をイメージしているのかもしれませんが、その背景を読めば、ここ1年は調子が合わずに学生駅伝出場のなかった花尾恭輔選手(4年)が万全の状態で走れる目処が立った故の発言とも取れます。そうなれば、鈴木選手を希望どおりの2区に据えて、3区・篠原、4区・花尾でいくと思います」

――ライバルにとっては脅威の区間配置ですね。

「どのオーダーでもそうだと思います。仮に佐藤選手が1区でなくても1区候補の選手はいますし、仮に2区まで後れをとったとしても、3区で巻き返して一気に勝負を決めてしまう力を秘めています」

――山の特殊区間も5区に山川拓馬、6区に伊藤蒼唯という前回大会好走した2年生コンビが揃っています。

「そのふたりが崩れるイメージが全く持てないですね。どんな条件でもきちんと走る、力を出せるのが強みだと思います」

――不安要素がないのが現状ですが、その駒大を揺さぶる、その背中を見ないレースにするためには?

「1区でほかのチームが区間賞を取ることです(笑)。駒大が佐藤選手で来る可能性が出てくるとかなり至難でしょう。中央大は吉居大和選手も候補に挙がりますが、今回は吉居駿恭選手でいくのではないでしょうか。もし佐藤選手がいきなり逃げても駿恭選手は付いていける力はありますし、そうでない展開でもハイペースに対応できます。あとは青学大の出方も気になりますが、いずれにせよ、他校がどこまで駒大に対抗していけるか、注目したいですね」

◆渡辺康幸が占う第100回箱根駅伝・後編>>

⚫︎プロフィール
渡辺康幸(わたなべ・やすゆき)/1973年6月8日生まれ、千葉県出身。市立船橋高-早稲田大-エスビー食品。大学時代は箱根駅伝をはじめ学生三大駅伝、トラックのトップレベルのランナーとして活躍。大学4年時の1995年イェーテボリ世界選手権1万m出場、福岡ユニバーシアードでは1万mで優勝を果たし、実業団1年目の96年にはアトランタ五輪1万m代表に選ばれた。現役引退後、2004年に早大駅伝監督に就任すると、大迫傑が入学した10年度には史上3校目となる大学駅伝三冠を達成。15年4月からは住友電工陸上競技部監督を務める。学生駅伝のテレビ解説、箱根駅伝の中継車解説でもお馴染みで、幅広い人脈を生かした情報力、わかりやすく的確な表現力に定評がある。

著者プロフィール

  • 牧野 豊

    牧野 豊 (まきの・ゆたか)

    1970年、東京・神田生まれ。上智大卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。複数の専門誌に携わった後、「Jr.バスケットボール・マガジン」「スイミング・マガジン」「陸上競技マガジン」等5誌の編集長を歴任。NFLスーパーボウル、NBAファイナル、アジア大会、各競技の世界選手権のほか、2012年ロンドン、21年東京と夏季五輪2大会を現地取材。229月に退社し、現在はフリーランスのスポーツ専門編集者&ライターとして活動中。

駒大スポーツ新聞「コマスポ」編集部

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