駒澤大の全日本大学駅伝4連覇なるか? 全エントリー選手を駒大スポーツ新聞編集長が独自取材のコメントも交えて解説

  • 中西真雪(コマスポ)●取材・文 text by Nakanishi Mayuki
  • 宮澤希々(コマスポ)●撮影 photo by Miyazawa Nene

 11月5日に開催される第55回全日本大学駅伝対校選手権大会(全日本大学駅伝)のチームエントリーがこのほど発表された。今大会、4連覇がかかる駒澤大学の戦力を駒大スポーツ新聞編集部(コマスポ)の中西真雪編集長(文学部3年)が徹底解説する。

出雲駅伝で優勝し2年連続大学駅伝三冠へ好スタートを切った駒澤大出雲駅伝で優勝し2年連続大学駅伝三冠へ好スタートを切った駒澤大この記事に関連する写真を見る* * *

 駒澤大は昨年度、大学史上初の三大駅伝三冠を達成し、10月9日に行なわれた第35回出雲全日本大学選抜駅伝競走(出雲駅伝)では1区から首位を譲ることなく、完全優勝。今回の全日本大学駅伝を制すると、史上初の2年連続三冠に王手をかけることとなる。

 10月13日に発表された駒澤大の全日本大学駅伝エントリーメンバー(学年/出身高)は以下のとおりだ。(★が主将)


●赤津 勇進(4年/茨城・日立工業) 

●赤星 雄斗(4年/京都・洛南) 

●白鳥 哲汰(4年/埼玉・埼玉栄) 

●鈴木 芽吹(4年/長野・佐久長聖)★ 

●花尾 恭輔(4年/長崎・鎮西学院) 

●安原 太陽(4年/滋賀・滋賀学園) 

●篠原 倖太朗(3年/千葉・富里) 

●庭瀬 俊輝(3年/大分・大分東明) 

●伊藤 蒼唯(2年/島根・出雲工業) 

●佐藤 圭汰(2年/京都・洛南) 

●山川 拓馬(2年/長野・上伊那農業) 

●植阪 嶺児(1年/奈良・智辯奈良カレッジ) 

●小松 聖(1年/秋田・秋田工業) 

●小山 翔也(1年/埼玉・埼玉栄) 

●村上 響(1年/広島・世羅) 

●安原 海晴(1年/滋賀・滋賀学園) 

【最注目は7区! 大エース・田澤廉の後継者は?】

 全日本大学駅伝は駒澤大学にとって「相性がいい」と言われる大会だ。もちろん勝てる確証はないが、優勝回数は最多の15回を誇り、現在3連覇中。昨年度は3区以降首位を独走し圧倒的な強さを見せた。

 区間配置で最も注目したいのは、7区。4年連続で区間賞を獲得した、大エース・田澤廉(2023年卒/現・トヨタ自動車)を置いた区間だ。

 誰が田澤のあとを継ぐのか。

 筆頭格として名を挙げたいのは、大八木弘明総監督に師事を仰ぐ「エース会」の会員だ。現在は卒業した田澤のほかに、主将の鈴木芽吹、ハーフマラソン学生記録保持者の篠原倖太朗、海外レース経験も豊富な佐藤圭汰の3人が所属し、三者三様の強さに磨きをかけている。

 昨年12月、鈴木はコマスポの取材に対し「自分がエースだとは思っていない」と話していたが、今季は「エースとして」という言葉を多く発するようになった。10000mの持ちタイムは全エントリーメンバーのなかで最も速い27分41秒68。実力に加え、エースとしての自覚を備えてきている。

 そんな鈴木は、出雲駅伝前にはチームメイトに「仮にトップでタスキをもらわなくても戦える範囲であれば、大丈夫」と心強い言葉をかけ、それでいてレース後には「それ以上の走りをみんながしてくれたのでカッコつけて言うこともなかった」と笑って言える飾らなさからもチームの支柱となっていることがうかがえる。

 続いて、篠原は昨年度の全日本大学駅伝(5区)、箱根駅伝(3区)はいずれも区間2位と安定した成績。今年4月には10000mで27分43秒13の自己ベストを記録した。自身が分析する強みは「バランスのよさ」。「スタミナもスピードも自分のレベルで走れる人は少ないと思う」と自信を持っている。

 また大八木総監督は篠原の「レース感の鋭さ」を評価する。出雲駅伝1区では、アイビーリーグ選抜が前に出たところでも落ちついて対応。ラスト400mからのスパートで一気に突き放し、区間賞を獲得して仕かけどころを逃さなかった。インタビューの強気で熱い発言とは対照的な冷静なレース運びが見どころのひとつとなるだろう。

 佐藤は「現状に満足しない」姿勢が魅力だ。出雲駅伝では、中国・杭州で行なわれたアジア競技大会から中4日というハードスケジュールでも、2区区間賞。出走すら危ぶまれたなかで十分すぎる結果だが、「せめて15分台で走らないといけないと思っていたが、16分8秒もかかってしまい、実力のなさを感じて悔しかった」と自身の不甲斐なさを省みた。

 前半シーズンを振り返っても「結果を残せなかった。自分のメンタルの弱さを痛感した」と厳しい自己評価だが、エースのひとりとして主要区間を任されることは間違いないだろう。

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