箱根駅伝予選会で東海大は10位通過も「いるべき順位ではない」本戦でのシード権獲得は主力の復帰や2年生の活躍がカギ

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by スポニチ/アフロ

【エースの転校、現状への危機感】

 今季、2年生の中軸が伸びてきているのは、チームにとってはプラスだ。主力は、すでに石原がポイント練習に復帰してきており、両角監督は「全日本には出します」と明言した。越は気持ちの問題を抱えており、少し時間が必要だが、故障している五十嵐とともに箱根には戻ってくるだろう。とはいえ、シード校10校に今回の順位をプラスすると本戦では20位に相当する。強い東海の復活、シード権獲得は容易ではない。

「予選会で10番ということを考えると、箱根でのシード権獲得はかなりハードルが高いですが、最初から難しいと決めつけず、そこは挑戦していきたいですね。そのためのポイントは、山の上下(5、6区)です。うちは、強い選手が転校してしまったので......」(両角監督)

 吉田響は「山の神になりたい」という強い気持ちと走力をもった選手で、昨年の予選会ではチーム内トップで石原よりもタイムが良かった。部の方針と合わず、今春、創価大に転校し、出雲駅伝は5区区間賞の走りを見せた。

「吉田が納得できるような形にしてあげられなかった私の力不足のせいですが、彼の存在は大きかったです。実際、彼の加入で創価大は出雲で2位になり、箱根も優勝候補になっていますからね。ただ、出雲で区間賞を獲ったことで、うちの選手もあいつががんばっているから自分たちも負けてられないという気持ちになっている。そういう気持ちが大事ですし、箱根までなんとかシードを狙えるところまで力を上げていきたいですね」(両角監督)

 予選会後、チーム全員と関係者、選手の家族などが集まり、報告会が行なわれた。10位という結果のせいか笑みはなく、出走した12名の選手も体育座りで彼らを見上げるチームメイトも表情は硬かった。

 越主将が一言を求められ、マスクを取った。その表情はいつになく硬く、厳しいものだった。

「今日は、お疲れさまでした。真に応援される人というのは、生活や陸上で完璧である人だと思います。そういう人が応援されるべきですし、走るべきだと思います。本戦に向けて時間が長くあるわけではありませんが、本当に心からみなさんに応援していただけるチーム作りをもう一度ここから行ないたいと思いますので、応援よろしくお願いします」

 3年生ながらチームのかじ取りを任された越は、走る以前にチームの規律や生活面に生ぬるさを感じているのかもしれない。そういうところからチームは崩れていく。吉田と同期の越の言葉からは、現状への危機感とともに昨年と同じことを繰り返さないという強い決意が感じられた。

 今後、越の決意を全学年でサポートしていけるだろうか。

 乱れが生じれば、箱根のシード権はその尻尾さえ掴めないまま終わってしまうかもしれない。箱根駅伝まで2カ月半、東海大は越主将と2年生がキーになりそうだ。

プロフィール

  • 佐藤 俊

    佐藤 俊 (さとう・しゅん)

    1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)など著書多数。

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