箱根駅伝の予選会出場は「出雲、全日本への踏み台」 皇學館大・主将が語る「監督不在の3カ月」と挑戦までの経緯 (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by SportsPressJP/アフロ

――毛利主将自身は、これまで箱根駅伝をどう見ていましたか。

「興味なくはないですけど、自分にはあまり関係ないって感じでほんと見るだけって感じでした(苦笑)。ですから昨年、出ると言われた時も正直ピンとこなかったです」

 毛利は、現在3回生で、寺田監督から「チーム内で一番速い選手」という理由で主将に指名された。兵庫県の神港高校出身で、元々は陸上競技をつづける予定はなかったがスカウトされ、「出雲や全日本で走ろう」と気持ちを切り替えて皇學館大に入学した。

――高校時代、駅伝に興味はあったのですか。

「中学までバスケットをしていたので、団体競技は好きだったんです。陸上は個人競技ですけど、駅伝はみんなで頑張る競技なので楽しいです。昨年、初めて出雲に出たのですが、観客がすごく多かったですし、周囲を見ると名前が知られているような選手がいて、その雰囲気に圧倒されてしまいました。普段、緊張するタイプではないのですが、スタート前からガチガチに緊張して、右と左の靴下を履き間違えるぐらいパニックになってしまって(苦笑)。その時、初めて緊張というものを肌で実感することができました」

――3年の主将は、上に気を遣いつつ、チームをリードしていく難しさがあると思います。

「自分はどちらかというと目立ちたいタイプなんです。そういう意識でこれまでやってきたんですけど、主将になって周囲を見ないといけなくなりましたし、コミュニケーションの部分で苦労することが増えました。人と話をする際、言葉が足りない部分があったり、思っていることをうまく伝えられなかったり......難しいですね。上級生については、松野(颯斗・4年)さんは友人みたいな感じなので、特に気を遣うこともなく、楽しくやれています(笑)」

――4年生に対する思いは、特別なものがあるのですか。

4年生は松野さんだけなので、いろいろ苦労もあったと思うんです。ですから、最後は気持ちよく送り出してあげたいと思っています。12月に東海学生駅伝があるんですけど、そのレースで勝てば来年の出雲駅伝の出場権を獲得できるんです。松野さんは2年生の時アンカーで走っているんですが、もう1回、アンカーで走ってもらってゴールしてほしいです。そうして、予選会突破ができたら箱根を走って有終の美を飾って欲しいなと思います」

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