箱根駅伝予選会への出場は「チームのプラスにならないんじゃないか」 関西の雄・立命館大のコーチが明かす挑戦までの議論と経緯 (3ページ目)
――スカウティングをする際、箱根ブランドは大きいのでしょうか。
「大きいですね。長距離でタイムを持っている選手は、やっぱり関東なんですよ。立命館大というと、短中距離が得意な選手が多いので、長距離で速い選手がうちにというのは稀ですね。今は入部基準が5000mで15分20秒、基本的にはうちに来たいという選手に来てもらう感じですが、今後は今回の箱根へのチャレンジを機に少し変わっていくかもしれません」
チームは、箱根予選会(10月14日)後に、全日本大学駅伝が控えている。
――予選会後の全日本大学駅伝は、どのくらいの順位を目標にしていますか。
「来年の全日本は8位入賞を確実に獲りに行きたいと考えているのですが、今回は来年を見据えて8位入賞を目標に、どこまでやれるのかを見極めていきたいですね。たぶん、跳ね返されると思いますが、狙った結果、どうだったのかというのを感じることが大事ですし、来年に繋がると思うので、8位に向けてチャレンジしていきます」
――箱根予選会は、13位内が本戦出場となります。
「例年の10チームですと可能性はほぼないかなと思います。でも、3つ枠が増えたのは大きいですね。レース戦略としては上位5名はフリーで行かせて、あとは中間層の頑張りがカギになります。当日の天候や選手の調子を考えてペースを設定し、(昭和記念)公園内に入って来て余裕があるなら『行け』という指示を出せればいいかなと。とにかく序盤の(陸上自衛隊立川)駐屯地はフラットなので、前に行きたくなりがちですが、15キロを超えてから前をとらえていくような冷静な走りをしてほしいですし、ラスト5キロをどう攻略するのかが大きなポイントかなと思います」
――期待する選手は。
「3本柱(大森駿斗、山崎皓太、中田千太郎)ですね。彼らに、しっかり走ってもらうのが大前提になります」
――昨年、13位の日本大学の10時間52分が一つのターゲットになりますか。
「今年はやってみないとわからないですが、主力は1キロ3分4秒で64分台に乗ってこないと難しいですし、コンディションがよければ彼らなら63分台も狙えるでしょう。あとは、後続がどれだけ彼らに近いタイムで入ってこられるか。しっかりと箱根予選会で勝負して、うちとしてはそれを踏み台にして強い立命館大を作っていきたい。そのために勝負ができるところまでいかないといけない。勝負できず、ただダメでしたで終わってしまうと何も残らないので、少なくとも負けて悔しかったと思えるところで戦いたいですね」
後編に続く>>箱根駅伝の予選突破を狙う立命館大3本柱が考える関東の大学勢との違い「勝負をかける走りが関西とはぜんぜん違う」
著者プロフィール
佐藤 俊 (さとう・しゅん)
1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)など著書多数。
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