箱根駅伝予選会へ向けて札幌学院大のエースの意気込み「地方の大学、なめんなよ!」 (3ページ目)
予選会が終わると11月には全日本大学駅伝が待っている。昨年は19位に終わったが、今年も北海道代表として、関東や関西の強豪校と戦うことになる。
――今年の目標は、どこに置いていますか。
「18位よりは上で、出来れば16位まで上げていきたいです。9位から17位に入ると地区学連から出場枠が1校増えて2校になりますし、そのためには関東や関西の大学を一つでも多く喰っていきたいですね」
――自分自身の卒業後について考えていることがありますか。
「一番の目標は、実業団に行くことです。仕事をしながらでも陸上はつづけていきたいと思っています。競技は、トラックなのか、マラソンなのか、ちょっと迷っています。得意なのはトラックですけど、タイムが出て楽しいのはハーフなので、それは卒業してから考えようかなと。マラソンを走るにしても体作りをして、トラックの経験を積んでからでもいいかなと思っています」
箱根駅伝予選会は、箱根を目指す大学にとって天国か地獄かの非常に厳しいレースになるが、選手はタイムを出して名を売ることができる。渡邊もそこでインパクトを与えられるような走りを見せることができれば、実業団から声がかかる可能性がある。
――箱根駅伝予選会を、どのように戦いたいと考えていますか。
「チームのこともありますが、まずは自分がやるべきことをしっかりやる。自分が頑張れないとチームも頑張れないと思うので、自分が先頭に立って引っ張っていきたいです。コーチにも『エースの自覚を持って』と言われているので、その期待に応えたいです」
――今年の箱根1区の新田選手のようにスタートから前にいく予定ですか。
「そうですね。どれだけスタートがうしろでも最初からとにかく先頭の方で走る。先頭に立って走れば、地方の大学でもここまでやれるんだぞっていうのを見せられると思うんです。途中でペースが落ちたとしても、とにかくチャレンジして前にいく。挑戦しないと意味がないと思いますし、やっぱり出るからは爪痕を残していきたい。『地方の大学、なめんなよ!』っていうのを見せたいですね」
箱根駅伝の予選会、見慣れたユニフォームが多い中、発色の良いイエローカラーのユニフォームの選手が前に飛び出していくかもしれない。途中で脱落したとしても留学生や各チームのエースを従えて走る小柄なエースは、相当のインパクトを残し、きっと大きな爪痕を残してくれるはずだ。
著者プロフィール
佐藤 俊 (さとう・しゅん)
1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)など著書多数。
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