陸上男子200m優勝の型破りなスプリンター鵜澤飛羽「陸上は2025年の世界選手権東京大会までで、終わったら辞めてもいいかな」 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 岸本勉●撮影 photo by Kishimoto Tsutomu

 高いレベルを安定させて、日本選手権も制した鵜澤だが、「まだスピード練習もあまりやっていないので、もうちょっとタイムが上がるのはあと1カ月後くらいだなと、谷川聡先生とも話をしているんです」という状態だ。

「今は全体としたらタイムはある程度出ているかも知れないけど、前半をもっと突っ込めないと世界では戦えない。だから今年はそんなに気負わずやって、世界選手権やアジア選手権に出られたら楽しんでやろうと考えています。そのなかで自己ベストくらいは狙っていこうかなというくらいですね」

 そんな鵜澤に200m強化のための100m挑戦を問うと、「待ってました」とばかりに笑顔でこう答える。

「みんなそう言い始めると思うけど、100mは練習程度にどこかの記録会に出るかもくらいで何も考えていないですね。100mに関してはハムストリングが治りきるまでは一旦置いておいて......。200mもまだまだですけど今は走れているので、『200mをやっていたら100mも勝手に速くなっていたね』というのが一番適切だと思っています。だから9秒台を狙いますとは言いません(笑)」

 静岡の快走のあと「やっと高2の頃に(調子が)戻ってきましたが、まだ超えてはいませんね」と話していた鵜澤は、ケガの状態は万全に戻るまでにはまだまだ時間もかかると考えている。

「今、陸上を絶対に続けると決めているのは、2025年の世界選手権東京大会までで、それが終わったら辞めてもいいかなと思っているので、そこはまた谷川先生との相談ですね。でも僕は陸上以外にもたくさんやりたいことがあるので。いろいろ勉強したいこともあるし、自分の趣味で好きなこともいっぱいあるので。でもそこまでは本気で、狙える限りやっていくつもりです」

 この優勝でアジア大会などでの4×100mリレー出場も期待されるが「その意欲はないですよ。そんなのはおこがましいと思うので」と笑わせる鵜澤。型破りなスプリンターが、これからどんな走りを見せてくれるか、楽しみが広がってきた。

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