陸上男子200m優勝の型破りなスプリンター鵜澤飛羽「陸上は2025年の世界選手権東京大会までで、終わったら辞めてもいいかな」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 岸本勉●撮影 photo by Kishimoto Tsutomu

 6月1日から大阪・ヤンマースタジアム長居で開催されている日本陸上選手権。男子200mで大学生たちが活躍した。

 大会初日の予選で飯塚翔太(ミズノ)、昨年の日本選手権を制した上山紘輝(住友電工)が決勝に進出。上山に関しては、第2組3位の記録で拾われての決勝進出と本調子ではないようだった。

ケガから2年。徐々に自分の走りを取り戻しつつある鵜澤飛羽ケガから2年。徐々に自分の走りを取り戻しつつある鵜澤飛羽 台風の影響から雨が降り、向かい風0.2mという条件のなかで行なわれた6月2日の決勝で勢いを見せたのは、予選第1組を20秒52で1位通過していた鵜澤飛羽(筑波大/3年)と、予選第2組で予備予選に続く自己新で20秒49までタイムを伸ばしていた宇野勝翔(順天堂大/4年)の2人だった。

 コーナーからの抜け出しはともに先頭でほぼ差のない状態。そこから鵜澤が抜け出して20秒32の自己新で初優勝を決め、宇野は20秒55で2位と新戦力の台頭を印象づけた。

 優勝した鵜澤は思いどおりのレース展開だったと振り返る。

「しっかりタイムも狙いながら、120から130mくらいまでは勝ちきることを意識して行きましたが、そこからは自分の走りをすれば前に出ることはわかっていました。一番自信がある最後の伸びをしっかり意識して走りました」

 この結果で目標にしていた7月のアジア選手権出場を確実にするとともに、上山に次ぐ日本人2位につけていた200mの世界ランキングも上がり、世界選手権代表にも一歩前進する結果を残した。

 日本選手権初出場だった昨年は20秒68で4位だった鵜澤。今年、5月3日の静岡国際では予選で自己ベストを0秒16更新する20秒38でトップ通過すると、決勝では参考記録ながら20秒10を出して新星誕生を印象づけた。そこから4日後の木南記念も20秒44で優勝と、その力が本物であることを証明し、満を持しての日本選手権だった。

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