初代・山の神の苦悩「そう呼ばれて、それを超えられていない悔しさはある」。箱根駅伝5区で3年連続区間賞・今井正人が振り返る順天堂大時代 (4ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by 日刊スポーツ/アフロ

 3年連続での5区区間賞、4年では区間新を出し今井の走りに日本中が沸いた。そうして、今井は「山の神」という称号を得ることになる。その後、柏原竜二(東洋大)、神野大地(青学大・現セルソース)があとに続き、今井は「初代山の神」として世間に認知されていった。

「『山の神』は、一緒に走った北村君が、そう言ってくれたおかげで、そのように呼ばれるようになっただけで、自分自身は『山の神』だと思ったことはないですね(苦笑)。ただ、そうみなさんに呼ばれ、名前と顔を覚えてもらえたのはよかったですし、北村君からはいまだに『今井さん、感謝してくださいよ』って言われます(笑)。でも、今はもう柏原君や神野君に抜かれているし、それは16年前のこと。『マラソンの今井』『トヨタ自動車九州の今井』ではなく、今も『山の神』と呼ばれ、それを超えられていない悔しさがずっとありました。そういう意味では箱根駅伝は自分にずっと試練を与えてくれているのかなと思います。でも、諦めていません。絶対に『山の神』を超えてやろうと思っています」

「初代・山の神」──。あまりにインパクトが強い名称は、今井の陸上人生に光だけではなく、重たい影も落としてきた。今、今井の視線の先にあるのは、MGCで結果を出し、「マラソンの今井」として力を見せつけることである──。

後編に続く>>「もうマラソンはダメだな」からの復活劇。なぜ引退覚悟のレースで結果を出せたのか

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る