2022.07.25

銅メダル獲得の北口榛花、最終投てきで逆転の裏にあった高校時代の自信「私は6投目もできる子だ」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AFP/AFLO

 アメリカ・オレゴンで開催されている世界陸上選手権の女子やり投げ決勝で、銅メダルを獲得した北口榛花(きたぐち・はるか/JAL)。最終6投目でその日の最高となる63m27を投げたにも関わらず、頭を抱えて座り込んだ。

最高の笑顔で世界陸上を終えた、やり投げの北口榛花最高の笑顔で世界陸上を終えた、やり投げの北口榛花 この記事に関連する写真を見る 「5投目はグリップがうまく握れなくて、やり先が下を向いたままだったのですが、それでも55m位まで飛んでいたので、コーチに『それくらい力があるなら、普通に投げられるでしょう』と言われて6投目に臨みました。その6投目もあまり、完璧な投てきができたというイメージはなくて、『ちょっと物足りない』くらいの内容だったし、スクリーンの映像を見ても3位のラインより手前に刺さっているように見えたので、『アーッ、ダメだったか』と思って座り込んでしまったんです」

 2日前の予選では、1投目にシーズンベストの64m32を投げ、1位で決勝進出を果たしていた北口。決勝のこの日も「最近は大事にしている」という1投目で3位につける62m07を投げ、4投目以降のトップ8進出を確実にしていた。デービット・セケラックコーチからは1投目のあとに「今日は65mを狙える」と言われていただけに、悔しさがあったのだろう。

「2番になったとわかった時はすぐにコーチのところに行ったけど、残りのメンバーを見たら絶対に(遠くまで)投げてくるとわかっていたし、2cm差と5cm差だったから、絶対にダメだと思って。それでコーチに『このあとの競技は見るな』と言われて、スタンドのほうを向いていました。やはりアメリカの選手は強かったし、最後の中国の選手も強いから、すごくドキドキして待っていました」

 5投目終了時点で5位に落ちた北口の6投目の試技順は4番目。3投目に今季世界最高の66m91を投げたケルシーリー・バーバー(オーストラリア)のメダル獲得はほぼ確定しているなか、北口は63m27で2位につけたが、次のカラ・ウィンガー(アメリカ)が64m05を投げ、順位は3位に落ちた。

 あとには1投目に自己ベストの63m22を投げているマッケンジー・リトル(オーストリア)と、4投目に63m25を投げていた東京五輪優勝のリュウ・シエイ(中国)が控えていた。しかし、ふたりの記録は伸びず、北口の3位が決定した。ホッとした瞬間、自然に涙が流れていた。