箱根駅伝のダークホース?! 神奈川大が「徹底的なオーダーメニュー」で躍進 (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by 日刊スポーツ/アフロ

練習は「オーダーメニュー」

 大後監督は、こう語る。

「練習のやり方を変えて、徹底的なオーダーメニューにしました。駅伝はチームですけど、陸上は個人競技なので、一人ひとり選手のメニューを作り、スケジュールを組むようにしたんです。いわゆる全体主義から個人主義への転換です。全体の練習は個人のメニューを考えたあと、完成させていきます。今回、うちはケガ人がおらず、いい布陣で臨めたのは、このオーダーメニューへの変更が大きかったと思いますね」

 春は個人がやりたい種目に特化し、秋シーズンから駅伝にシフトする。ここ数年、各大学で定着している年間の強化スケジュールだ。そこにプラスして個人の成長度、能力に合わせてパーソナルなメニューを提供していく。監督やコーチ、マネジャーに大きな負担がかかるが、より個人にフォーカスし、個々の成長を促すにはきめ細かいオーダーメニューが不可欠で、神奈川大はそこに着手したのだ。

 この日の予選会の結果を見れば、5年前、鈴木健吾を擁して全日本の予選会をトップ通過し、本大会で優勝した時のように本番での活躍に期待が膨らむ。

 その先には箱根予選会がある。

 今回4位の東海大、5位の大東大、6位の中央学院大に加え、花田勝彦監督が就任した早稲田大、そして明治大、日体大、山梨学院大、駿河台大、立教大などが本戦への椅子を狙ってくるだろう。だが、今回のように個々と全体とでしっかりと練習を積み重ね、選手が自信を持ってレースに臨むことができれば、神奈川大は、予選会突破はもちろん、箱根駅伝でも強豪校相手に「抜群の安定感」を武器に一致団結し、おもしろいレースを見せてくれるはずだ。

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