2022.06.11

箱根駅伝より実業団を選んだ。世界選手権代表内定、5000m遠藤日向が歩む独自の道はすべて「世界と戦うため」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 高橋学●撮影 photo by Takahashi Manabu

 6月9日の日本陸上競技選手権、初日の男子5000m決勝。この種目で唯一、すでに7月の世界選手権参加標準記録(13分13秒50)を突破している23歳の遠藤日向(住友電工)が、圧巻の走りで優勝し、世界選手権初代表を内定させた。

大学進学を選ばず、トラックで世界を目指す遠藤日向大学進学を選ばず、トラックで世界を目指す遠藤日向  参加標準を突破したのは、今年5月4日のゴールデンゲームズ・イン・のべおか(GGN)。実業団所属の外国人選手が記録を狙う5000mB組で、彼らが前半から積極的に走るなかで集団の最後方ながらも、離れずに位置をキープすると、ラスト1周に入る手前でスルスルッと先頭に立ち、残りの400mを55秒台で走り、2位に0秒56差をつけて先頭でゴール。日本歴代2位となる13分10秒69で優勝していた。

「GGNまでは標準記録を目標にしていたのですごく質の高い、本当に自分が『できるかどうかわからない』という練習を組み立ててやってきました。そのあとは日本選手権に合わせるというより世界選手権を目指して、少しラクにというか、GGN前ほど追い込まずに、つなぎのイメージでやってきました」

 昨年は同種目で初優勝しながらも、東京五輪参加標準記録を突破できず、代表を逃して悔しい思いをしたが、今年はすでに記録を出した状態で、3位以内に入ればその時点で世界選手権代表内定となる条件で日本選手権に臨んだ。

 不安もなく自信を持ってスタートラインに立てたと話す遠藤だが、「昨年とは違った緊張感やプレッシャーもあり、2日前に大阪に入ってきてからは少しずつ緊張して、今日の午前中もゆっくり走ったけれど、すごく緊張していました」と笑う。

 だがレースになると、前半は中段から後方に位置し、前の選手が集団から離れそうになるとすぐにその差を詰めて徐々に順位を上げていくという、安定した走りを見せた。

 3000mを過ぎて、塩尻和也と東京五輪出場の松枝博輝(ともに富士通)がオープン参加の外国人選手の前に出てペースを上げると、しっかり3番手につける。そして「どこでスパートをかけるか考えていましたが、松枝さんもラストが強い選手なので、少し手前からしっかり離し、最後は安全にゴールをしたいと思ってラスト2周から仕掛けました」と、4200mからスパート。ラスト1周も59秒でカバーし、2位に8秒02差をつける13分22秒13で圧勝した。

「今回はしっかり勝つことをテーマにしていたので、レース前には展開を考えず臨機応変に対応して、最後にどんな選手がいるかを見てから考えて走ろうと思っていました。3位以内で(世界選手権出場に)内定する条件なので気持ちに余裕はあったのですが、前回優勝者として、勝つことも大事だと思っていました。最後の直線はうしろを見て大丈夫だというのを確認していたので、うれしさがこみ上げてきて、思わずガッツポーズをしてしまいました(笑)」