2022.06.13

女子短距離が熱い。日本選手権優勝経験者の復活とボブスレーから陸上で輝くニュースター誕生

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 高橋学●撮影 photo by Takahashi Manabu

 昨年の東京五輪で出場した女子4×100mリレーは、すでに今年7月の世界選手権の出場権を獲得している。ただ、活躍に期待が膨らむなかで、春先は見通しの暗いスタートになっていた。

左から2位の兒玉芽生、初優勝を果たした君嶋愛梨沙、3位の御家瀬緑左から2位の兒玉芽生、初優勝を果たした君嶋愛梨沙、3位の御家瀬緑 この記事に関連する写真を見る  東京五輪1走の青山華依(甲南大)が4月の日本学生個人で11秒47の自己ベストを出したものの、日本選手権の2週前の関西インカレを、右膝裏に痛みが出たために欠場。また2走を走った兒玉芽生(ミズノ)は、オープン参加の学生個人が3位、4月29日の織田記念陸上大会は4位と予想外の結果に終わった。

 その織田では、御家瀬緑(住友電工)が優勝し、2位には後半伸びた君嶋愛梨沙(土木管理総合)が入ったが、記録は11秒79と11秒89と、悪条件とはいえ物足りないなど、明るい話題の少ない状況で日本選手権を迎えた。

 ただ、その日本選手権では、予選の第1組で兒玉が、追い風0.8mで11秒47を出して1位通過。向かい風0.7mだった夜の準決勝でも、後半ひとりだけ抜け出して11秒47と安定。「タイミングが崩れて自分の走りができていなかったですが、やっとここでできるようになった」と笑顔を見せた。

 さらに予選第3組では御家瀬が、低い姿勢で飛び出す形にやっと戻すことができて、向かい風0.8mのなか、最後は流して11秒54。第4組の君嶋も向かい風1.9mのなかで11秒58を出した。そして同走だった準決勝ではスタートをうまく決めた御家瀬が、追い風0.6のなかで、日本選手権優勝の2019年以来の11秒4台で自己ベストタイ(11秒46)を出すと、スタートで少し出遅れた君嶋も後半に伸びて11秒48で2位と、この3人の優勝争いが見えてきた。

 10日夜の決勝は追い風0.6mの条件。君嶋と兒玉がスタートをしっかり決めたのに対し、御家瀬は上体が少し立ってしまう悪い癖が出てしまった。

 兒玉と君嶋の競り合いになったが、70m過ぎに兒玉が少し前に出たところで、君嶋が抜き返して自己ベスト(11秒36)でゴールし、兒玉は自己サードベストの11秒40で2位に入った。

 予選より記録を落とす11秒55で3位だった御家瀬は、「昨日より状態がよかったので、記録も優勝も狙っていましたが、スタートで出力を出しきれなかったので、加速区間も伸びなかった。そこからは冷静にキープをして順位狙ったのですが、(伸びなかったのは)日本選手権で20年は準決勝敗退で、去年は予選落ちだったので、まだ完全に自信を持てていないのが原因だと思います」と自己評価した。