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山縣亮太に起きていた変化。悲願の9秒台達成の舞台裏をコーチが語る (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Naoki Morita/AFLO SPORT

 迎えた決勝、山縣は隣のレーンの多田修平(住友電気)にスタートでわずかに先行される。中盤までは追いかける形になって、その後は並走するとラスト20mから前に出るとそのままゴール。ランニングタイマーは9秒97で止まり、しばらくしてから追い風2mとともに、9秒95の確定記録が掲示された。

「多田選手が見えていたので、タイムより勝負を意識しました。ラストまでしっかり集中力を切らさず、自分のペースを崩さないように気をつけました。それがうまくハマったのが快走の要因だったかなと思います」

 そして、9秒95の走りの感想をこう述べた。

「9秒97でもうれしかったので、とにかく公認記録になってくれと祈っていました。それが公認で9秒95になったので、2倍うれしかったです。

 10秒00で走った時は最後まで地に足がついている感じだったけど、今回の最後はスピードなのか風の影響なのかわからないけど、足が回転に追いつかないような感覚があって、最後はフワフワした感じでした。そのあたりは身体がまだこのスピード感に慣れていないんだなと感じました」

 大学2年だった2012年4月に10秒08を出した山縣は、その年のロンドン五輪予選で自己新の10秒07を記録すると、準決勝も10秒10と力を出し切った。翌年からは10秒01を出した桐生とともに、「9秒台に最も近い選手」として期待され、16年リオデジャネイロ五輪4×100mリレーでは日本の銀メダル獲得にも貢献した。

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