駒澤大の大八木監督が箱根逆転優勝の要因を分析。ピタリとハマった狙い (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Tsutomu Kishimoto/PICSPORT

「3年生を全日本に出さなかったのは正解でした。(出られなかった)その悔しさを箱根で全部出し切ってくれました。3年生が『自分たちがやればいける』という気持ちで走ってくれたのは、来年につながります。

 全日本でまずまずの走りをしていた2年生の酒井と山野が、今回は区間11位と6位だったのは誤算でしたね。田澤も含めて長い距離でも安定感を持たせられるように、もっとレベルを上げていかなければ、連覇にはつながらない。勝った上にそういう課題が見つけられたことは大きな収穫です」

 こう話す大八木監督は次の箱根について、有望な新入生も複数加入する青学大や東海大だけでなく、往路を若い選手で組んだ東洋大や創価大、さらには27分台のエースがふたり残る早稲田大の強さを考慮して、混戦になると予想する。そしてこうも話す。

「今回の優勝記録は青学大の大会記録より10分以上遅いですが、1万mの平均タイムが一番いいうちが勝てたことはよかったと思います。スピード駅伝、スピードマラソンと言われるようになっているこの時代で『箱根はスピードだけではダメなんだよ』という結論になってしまうのは悔しいですからね。1万mの平均タイムが速く、なおかつスタミナもあって勝てるようなチーム作りが理想です。来年は青学大の10時間45分23秒の更新を目指していきたいと思います」

 箱根駅伝は大学生ランナーが世界へ挑戦する足掛かりとなるべき。大八木監督のその意識は、総合優勝を果たして益々強くなっている。

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る