箱根巧者の青学大らしからぬミス。原晋監督は勝負に徹し切れていたか (3ページ目)

  • 酒井政人●文 text by Sakai Masato
  • photo by AFLO

 だが、過去2回の出場では、今回のように脚をケイレンさせての区間5位(2年時)と区間13位(3年時)という結果しか残していない。さらに昨季は出雲5区で区間5位、今季の全日本では出番がなかった。

 今大会、原監督は「4区まで接戦になる」と予想。5区でトップを奪い、そのまま逃げ切るプランを考えていたが、5区・竹石は"キーマン"としては実力が足らなかったのではないだろうか。また、寒さ対策とふくらはぎの疲労対策として、コンプレッション機能のあるハイソックスやふくらはぎサポーターを活用することもなかった。目に見える形では無策で山に臨み、過去と同じ失敗を繰り返したように見えた。

 竹石はもう一度、山に挑戦したくて留年を決意した選手。原監督はその心意気を買っていたのかもしれないが、"温情起用"が裏目に出てしまったような気がする。原監督は神林の疲労骨折が判明したあとのミーティングでも、神林を10区で起用する方針を示したという。しかし神林は、「僕がいなくても総合優勝を狙える。後輩に走らせてください」と温情起用をキッパリと断っている。

 13年ぶりの総合優勝に輝いた駒澤大は4年生を外すことで、3年生の潜在能力を引き出した。原監督は選手起用の見極めに長けた指揮官だが、今回は勝負に徹し切れていなかったように感じてしまう。

 青学大は2015年の箱根を制してから、学生駅伝(出雲、全日本、箱根)のタイトルを獲得できなかったシーズンは一度もなかった。しかし、今季は全日本と箱根で共に4位。意地の復路Vが、王座奪還に向けての自信になることを期待したい。

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