DeNA館澤亨次が挑む「5秒49の壁」。1500mで57年ぶり快挙へ (5ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Kyodo News

 では、競技者としての理想像について、館澤はどう考えているのだろうか。

「日本のマラソン選手となると大迫(傑)さんの名前が必ず出るように、『1500mイコール館澤』を目指したいです。そのためにも世界で戦える1500mの日本の第一人者になりたい。横田さんは800mで世界を切り拓いたので、自分もそうありたいと思っています。

 今年は田中希実さんが活躍して、女子1500mの注目度が上がりました。日本新記録のタイムも勝ち方も圧倒的で、あのレース展開に憧れますし、あのくらいやらないとダメなんだというのを感じました。今後、男子はよりいい結果を出していかないと発展していかない。それを自分がやるんだという思いが強いです」

 館澤の声には力がこもっていた。競技への取り組み、レーススタイルが変わるなか、環境もさらに大きく変化しつつある。

 館澤が所属している横浜DeNAはこれまでのチームを解散し、来年からは個人に絞ってサポートすると発表した。それにより、館澤はより競技力を高められる方向でサポートを受けることができるようになる。

 1500mで57年ぶりに五輪の舞台に立ち、世界と戦うために必要なものが整ってきた。

「5秒49の壁」を超える挑戦がいよいよ始まる――。

5 / 5

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る