箱根駅伝で「秘密兵器」となるか。優勝候補の東海大に1年の新星現る (4ページ目)
市村にとって、秋の駅伝シーズンは"絶賛活躍中"だ。出雲4区で駅伝デビューを果たし、チームに流れをつくる走りで高評価を得た。続く全日本大学駅伝は5区で首位を走る東洋大・西山和弥(3年)をとらえてトップに立ち、優勝に貢献する走りを見せた。
だが、箱根の話になると「今までと距離が違う。長い距離にどう対応するかですね」と課題を挙げた。全日本大学駅伝からわずか2週間で迎える上尾ハーフは、実質的に1週間程度しか調整期間がなく選手にとって大変だ。それでも持ち帰った課題にきちんと向き合い、ある程度消化してきたところに、市村のアスリートとしての質の高さを感じる。
「上尾ハーフに出たのは、自分がハーフの記録を持っていないからです。正直、出雲と全日本だけの結果で箱根を走れるかというと、そうではなく、選手間の力が拮抗しているなかで最終的に誰を使うのかという判断はハーフのタイムになる。そのためには上尾で記録を狙わないといけないと思っていました。それに全日本を終えて箱根を走るために課題になったスタミナとかペース配分を考えて、上尾まで練習に取り組んできました。今回、62分というタイムとともに多少練習の成果が見えてきたけど、もっと力を上げていかないといけない。箱根まで残り1カ月半の間にしっかり強化していければいいかなと思います」
取り組んできた課題克服に光が見えてきた一方で、また新たに見えた課題もあったと市村は話す。
「今日は15キロを過ぎたところで追いつかれて、集団についていけなくなったんです。足が動かなくなって......。その落ち込んだ時の波を浅く、短くして、きつくなったところでも集団についていく。または、その流れに乗れるような力をつけていきたいです」
強くなるためにはレースで課題を見つけ、克服するために練習を行ない、一つひとつ不安要素を消していかなければならない。これから1カ月半、市村にとっては「3つの駅伝を走る」という目標を達成するために、練習と競争の日々になる。
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