東海大の新星・飯澤千翔。トラックに続き駅伝でも衝撃の走りを見せるか (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Kai Keijiro

 山あり、ちょっとの谷ありのトラックシーズンだったが、とても1年生とは思えない見事な活躍だった。周囲も飯澤を1年とは見ておらず、警戒するようになった。はたして、飯澤の自己評価はどうなのだろうか。

「個人的には、ちょっと試合に出すぎたかなって思いました。それが後半の悪い流れになってしまった。トータルで言うと、6070点ぐらい。狙ったレースを獲れたのもありましたが、外したものあったので。ピーキングが合わないのもありました。一発、レースを決めにいくと、その後の調子が落ちるんです。日本選手権のように、予選で342秒ぐらいのハイペースで走って、次の日の決勝も40秒を切るハイペースになると、体がきつくなる。そこはこれからなんとかしていきたい課題ですね」

 そう語る飯澤だが、成長を感じることもできた。

「走れるとき走れないときの感覚がわかるようになってきました。走れるときは気持ちよく楽に走れるし、走れないときはしっくりこない。嫌だなって、体が正直に反応するんです。あと、何をやったら速く走れるのかというのが、ちょっとずつですけどわかってきました。調子が落ちると腕が振れなくなり、つま先だけで走ろうとするので、しっかり腕を振って、足もべったりつけて......でも接地時間は短くするとか、いくつかのポイントはつかめてきました」

 ランナーとしての感覚が鋭く、飲み込みも早い。それは練習して身につくことではなく、持って生まれた才能である。しかも根っからの負けず嫌いで、少しでも速く走るためにいろんなことを吸収しようとする。まだ入学して半年ほどしか経っていないが、末恐ろしい選手になる気配を漂わせている。

「これからも1500mをメインでやっていくところはブレないです。正直ここまでは、うまくいき過ぎてって感じですが、結果もついてきているし、周囲からの期待もあるのでちゃんと走らないといけないと感じています。卒業するまでに3分35秒は切りたいですね。将来は1500mと5000mで勝負していきたい。箱根を走る人は『将来はマラソン勝負』というのが多いですけど、僕はまったく考えていません。体型的に長い距離を走ってもいけそうだと言われますけど、トラックで勝負したいですね」

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