神野大地はアンチにもめげずSNSを活用。「ありのままの自分を伝える」 (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sato Shun

 神野はプロになってから、積極的にSNSを利用して発信している。知名度が飛躍的に上昇し、注目されればフォロワーの数も増え、応援してくれる人の数も増えた。一方でツイッターにはアンチの声も届くようになった。そういう声を、神野はどう受け止めているのだろうか。

「アンチの声は気になります(苦笑)。以前は2ちゃんねるとか見ていましたけど、80%は批判なんですよ。もうそこは気にならないですけど、ツイッターはアンチの声とか批判は見たくなくても目に入ってきますからね。僕は、『自分のことを嫌いな人は嫌いでいい』って感じではなく、みんなに好かれたいんです。それは不可能なんですけどね......。

ただ、批判的な意見を言う人は、すごく調べて書き込んでいるし、調べないと出てこない情報を知っていたりする(笑)。だから最近は、それって僕に興味があるからだと思うようにしています。とはいえ、アンチの人よりも応援してくれる人のほうが多いので、これからもSNSは積極的にやっていきたいと思っています」

 そして神野はSNSの効果を実感しているという。これまでは陸上のことをメインに発信していたが、最近は大ファンのヤクルトスワローズについても積極的にツイッターに上げている。するとヤクルトファンからも応援の声が届くようになった。まったく違うスポーツのファンからの声援に、神野は「すごくうれしいです」と表情をほころばせる。

 神野は湯の丸高原での合宿を打ち上げたあと、都内で調整し、7月9日にホクレンロングディスタンスチャレンジ2019深川大会の1万mに出場し、同21日の士別ハーフマラソンまで北海道で合宿を行なう予定だ。

「深川の1万mと士別ハーフは、練習の一環として出ます。MGCで最高の走りをするために必要なことなので、このレースで成果を求めるというよりはMGCにつながる走りをしたいと思っています」

 神野は凛々しい声で、そう言った。

 そして取材のあと、こんなことがあった。

 ホテルには湯の丸高原にハイキングに来ていた年配のご夫婦やグループがいた。神野を見ると、「あれ、見たことがあるわ。山の......山の人よね(笑)」と親しげに話しかけてきた。同世代だけでなく、幅広い年齢層に顔を知られ、声をかけられる。神野が積極的にメディアに露出し、SNSで発信してきた成果だろう。

 一番応援されるアスリートになる――草の根的に神野大地の名前はいろんな世代に広がり、浸透しつつある。それらがMGC本番ではとてつもない声援になり、大きな支えとなるに違いない。

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