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「世界に出ても恥をかくだけ」
新谷仁美がアジア2位も悔しさを露わ (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Yuya NAGASE/PHOTO KISHIMOTO

「最初の予定は、1周を74秒前半のラップタイムで回っていくことでした。それをやれば途中で独走態勢に入れるという過信というか、確信みたいなものがあって。ただ、そういう展開にならなかったことで焦りが出てきて、75秒でしか押せなかったのかなと思います。ラスト3周でハブテゲブレル選手にいかれたときも、(ついて)いこうと思えばいけたかもしれないけれど、どこかで苦しいという思いや、負けるのかなという気持ちが出たと思います」

 前に出たハブテゲブレルは、1周ごとのラップタイムを73秒、72秒、70秒と上げてゴールした。それに対して新谷は75秒、74秒、73秒にしか上げられなかった。新谷より2歳下とはいえ、近年はハーフマラソンやマラソンにも取り組み、昨年はハーフ1時間08分25秒、フル2時間24分51秒と力をつけている彼女の底力に屈した形だ。

 新谷は13年世界選手権後には右足底の故障の悪化もあってレースから遠ざかり、14年には現役引退を表明している。ところが、昨年5年ぶりに競技に復帰し、今年1月の都道府県駅伝では最長10kmの9区で区間賞を獲得するなど復活した姿を見せていた。

 今回も大会前に、「世界選手権や東京五輪へ向けてランキングを上げるポイントを獲得するためには、必要不可欠な大会の代表に選んでもらったので、そのチャンスを生かすには優勝しかないと思う」と意気込みを語っていた。

 レースへ向けても、「今は若さも勢いもないので経験だけが武器だと思う。自分の武器は速いペースで押すしかないですが、この3カ月間は練習で距離も踏めて、足もできているので、後半も速いタイムで押せるようになっている。前で引っ張りながらもペースをコントロールして、ついてくる選手を幻惑させるような走りができるようになりたい」と話していた。

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